【伊藤智彦監督と振り返る2020年のアニメ業界】『鬼滅の刃』に感じたプロデュースワークの巧みさ
#アニメ #ワンピース #鬼滅の刃 #呪術廻戦
禰?豆子役の鬼頭明里さんは実は…
――各社、二匹目のドジョウを狙って『ネクスト鬼滅』の企画をみんな立てると思うのですが、伊藤さんは『ネクスト鬼滅』って結局どういうものを指すと思いますか。
伊藤:『鬼滅』を見て「必殺技がある」というのはいいんだなと思いました。俺は技名を叫ぶ作品というのは苦手なんですが、技を子供が真似できるのが強い。系譜で言うと『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のアバンストラッシュ、『るろうに剣心』の牙突ですよね。
『ジョジョの奇妙な冒険』などが挙げられますが、類似作は少年ジャンプ以外にもあって、構造が一番近いのは『鋼の錬金術師』なんじゃないかと。「妹を人間に戻す」「弟の人間の体を取り戻す」と目的設定が早く決められている。強くなるために特訓をちゃんとする。家族を伴った話。あとは女性原作者。そして意外と早く終わって、ちゃんと完結をする。初期『ワンピース』にあった、正しい少年漫画感が提示されたのではないかとも思いますね。
あとは劇場版『鬼滅』のあのスタイル、オリジナルのエピソードではなく、本来ならテレビでやる原作のエピソードを劇場で流す考え方も出て来るかもしれないです。『呪術廻戦』がテレビ版から「続きは劇場で」となったり。
――『鬼滅』は伊藤さんが監督をした『ソードアート・オンライン』でキリト役を務めた松岡禎丞さんも嘴平伊之助役で出ています。
伊藤:禰?豆子役の鬼頭明里さんも『僕だけがいない街』に出ています。オーディションで合格させたのは一番始めは我々のはずです。基本的に地声は高くなく低いですけど、芸達者で若手ではうまいから成功してますね。
オーディションに合格した話をディズニーランドで知ったという話も聞きましたし、「俺街」の時に目標とかいるの?と聞いたら「同じ事務所の悠木碧さんを越したいんです!」と話していて、「へえ」と思ったこともよく覚えています。すぐ隣に悠木さんがいたんですけどね。
――そういえば以前『ソードアート・オンライン』のときにも、松岡さんはワシが育てたと言っていたような.. . .。さらに鬼頭さんも伊藤さんが育てたとなると『鬼滅の刃』の売り上げの数%くらいもらう資格がありそうですね(笑)。
伊藤:いやいやいや、そんなこと言ったら超炎上案件だから。またこいつこんなことばかり言いやがってっなるので(笑)。
伊藤智彦(いとう・ともひこ)
愛知県出身。アニメーション演出家、監督。細田守監督に師事し『DEATH NOTE』で監督助手、『時をかける少女』で助監督、『サマーウォーズ』で助監督を務める。2010年『世紀末オカルト学院』で監督デビュー。その後、数多くのテレビ、劇場作品で監督を務める。
代表的監督作品は、『ソードアート・オンライン』、『劇場版ソードアート・オンライン~オーディナル・スケール~』『僕だけがいない街』『HELLO WORLDなど』。最新作は2020年にノイタミナで放送された『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』。
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