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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 「楽しんでる」「タコ死んでる」アイドルの押韻

『フリースタイルティーチャー』、今シーズンが1番アツい! 「楽しんでる」と「タコ死んでる」アイドルとしての決意と押韻

恋汐りんごが吐く言葉は別次元の“重さ”

 第2試合は、恋汐りんご(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI) & TKda黒ぶち VS risano(lyrical school) & サイプレス上野の一戦。いざ向き合うと、想像以上に2人に身長差があることに驚いた。恋汐のほうが1.3倍くらい大きく見えるのだ。これは意外な光景。アイドル対決ともなると、見た目にどうしても目が行ってしまう。あと、チームrisanoがオレンジのパーカーのペアルックで決めて来たのにも痺れた。チーム戦はこういう演出が見逃せない。

 バトルが始まると、シンプルにrisanoがうまいのだ。豊富なバトル歴を積んでいそうなこなれ感が既にある。参加者の中では彼女のレベルが頭一つ抜けているか? スタイルとして、risanoはCHICO CARLITOにどこか似ている。ビートアプローチは絶品だし、アンサーもしっかり返せている。

恋汐  「risanoちゃんは本当に凄い 
     今日 即興もめちゃくちゃ出来てるなのし
     ダンスも出来る でも今日は段差に躓くダンサーって事です」
risano 「ありがとう 褒めてくれて
     私は“HOMETENOBIRU”って感じで 色んなフロウにノリノリだ」

 咄嗟にlyrical schoolの持ち曲「HOMETENOBIRU」を持ってきたところは、完全にトップオブ・ザ・ヘッド。恋汐の口癖「はわ~」を「あちゃ~」「きゃわ~」で返したのも皮肉とエスプリが効いていた。さらに、risanoは視野も広い。唐突に恋汐が持参したアザラシのぬいぐるみに言及したのには笑った。

risano 「あかさたはまやら ハハ 朝から笑ったな
     てか ここ 新木場 アザラシ禁止だ」
恋汐  「アザラシはここに来てる アザラシの事は汐には関係ないから」

 一方、アザラシの存在を乱暴に見捨てた恋汐。そんなのを持ってきたら絶対イジられるだろうし、何かしら用意しておくべきなのに「関係ないから」で軽くスルーをしてしまった。ワイプを見ると、TKが「何のアンサーもないのかよ!」とガックリしている……。しかし、この件について当の恋汐はTwitterでこう説明していた。

「あざらしはぞんざいにあつかわれるのがかわいいから(U ˘ᴗ˘ U)」

 つまり、彼女はバトルの場でもキャラと世界観を崩さないつもりだ。だから、声も表情も身振り手振りも普段のまま。決して、オラオラでは行かない。それでいて、密かに韻をガンガン踏んでいくから驚く。例えば、「はわ~」はこんな風に活用していた。

恋汐 「汐の口癖は『はわ~』と言って 汐はめちゃくちゃ華もある
    今日は一泡吹かせてやるつもりで来てまるよ」

「はわ~」が「華」と「泡」に掛かっており、この押韻で独特のワールドを構築しようとしている。そんな世界観の中で最高のパンチラインが生まれた。

恋汐 「そういう楽しんでるとこ 本当可愛いと思う
    でも 汐もそれなりに楽しんでる
    そう 隣でタコ死んでる状況があったとしても」

「楽しんでる」と「タコ死んでる」、ゆるいのに妙になぜか刺さるライムだ。不思議とじわじわ来るではないか。恋汐はラップもアティテュードも徹底的にオリジナル。ほんわかしながら踏みまくる。一途に自分を貫く彼女のスタイルは尊敬に値する。そして、彼女の信念が最も表れていたのはこのリリックだろう。

恋汐 「ラップ アイドル 英語 ダンサー
    立ち位置不明でよく分かんない
    ふざけんじゃねぇなの アイドルは通過点じゃねぇ」

 このときの恋汐の言葉の重みは別次元である。アイドルとしての強いプライドと決意がどうしても滲み出てしまい、筆者はちょっと感動した。いくら「あちゃ~」と言われようが、彼女はスタイルを貫くべきだ。恋汐はTwitterで「アイドルとしてやってきた生き様をラップで表現したかった」とつぶやいていたが、それは表現できていたと思う。

 結果、この一戦はrisanoが勝利した。決してお互いが刺しに行くバトルではなく、物足りなさを感じた人がいるかもしれない。でも、ツッコミどころの多い恋汐の上辺をあげつらうのではなく、リスペクトして受け入れた上で上回ったrisanoの闘い方を評価したい。まさに、Have Funなフリースタイルだ。risanoもこのスタイルのままで行ってほしい。

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