般若「同業者には反面教師にしてほしい」ドキュメンタリー映画に描かれた一途なラッパーの肖像【インタビュー】
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「俺の代わりがいないんですもん」
――映画では悔しさを語る鬼のような一面もあれば、ひたすらに真面目でストイックに仕事と向き合う様子も多く映したシーンもありました。例えばライブに入る前、控室でストレッチ専門の方をつけて準備をし、チームで入念に段取りのチェックを行うも、ステージに上がる時はマイクを握った自身のみ。その様子はまるで格闘家やアスリートのようにも見えます。バンドやサイドMCで華やかにもせず、自分一人で観客と向き合うんだという気概を感じました。
般若 それはしょうがないですよ。俺の代わりがいないんですもん。
――そのしょうがないと割り切った考え方や、ストイックさは昔からなのでしょうか。
般若 ストイックでもないですよ。トレーニング自体も仕事と思って割り切ってやっているので。そりゃやりたくない時だってありますよ、俺だって。
――他のインタビューで般若さんはストイックだと言われると、同じように謙遜されたお答えを拝読しました。しかし、今回の映画を通しても、楽曲を通しても、間違いなく己に厳しい視点を持っていると思います。それは、職人のように淡々と音楽に向き合い続ける毎日がそうさせるのか、それとも湧き出る何かがあるのか。
般若 確かに曲はよく出すからストイックみたいなことを言われますけど、裏を返すと俺ってあと何歳まで出せるのかなっていうのを考えるんですよね。25歳の時に(ファースト・ソロ・アルバムの)『おはよう日本』を出して、そこに至るまで7~8年あったので、「じゃあセカンドアルバムは32歳……って、嘘でしょ!?」みたいに怖くなって。だから失われた時間を取り戻す感じでやりましたね。焦るといいものはできないと知っているんですけど、年を重ねてきてそんなに時間ってないだろうから、やれるうちにやれることをやっておこう、みたいな感じなんですよね。
――もしかしたら、次の構想をお持ちなんですか?
般若 例えば、よくありがちな若い子集めてプロデューサーになるみたいなのは全くないです。もしも自分が凄い曲を作ったり、これ以上できないかもっていう時がきたらやめるかもしれないですね。そこがどこなのかわからないけど。ただ42歳で健康診断を初めて受けたら視力2.0あるし、悪い所一個もなかったっす。酒も飲むけど肝臓も別に大丈夫だったし、じゃあ続けられるな、ってなって(笑)。
――逆に、こういうのが面白いからラップやめられないなっていう瞬間はありますか。
般若 9カ月近くライブやってなくて、最近地元のライブハウスHeaven’s Doorで80人くらいしか入れないところでやった時は久々に楽しかったから、やっぱ面白いなって思いましたね。
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