NiziU、BTS、NCTの活躍と潮目が変わった“日本とK-POP”の関係性 音楽ライターが韓国エンタメの2020年を大総括
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──2020年は新型コロナウイルスに振り回される一年だったが、それでもエンタメ業界は暗いムードの世間を盛り上げようと奮闘していた。ここではさまざまな分野の識者に、今年特に熱かった作品を総括してもらう。ここでは、音楽ライターの宮崎敬太氏に日本のK-POPフィーバーを牽引した3組のグループをあげてもらった。
2020年のK-POPを振り返る前に、簡単に私のプロフィールを。普段は音楽ライターとしてヒップホップの記事ばかり書いているんですが、実は2010年頃からK-POPをチェックし続けています。きっかけは少女時代の「Gee」です。さらに同曲の韓国版MVでSHINeeというボーイズグループの存在を知ってからは、K-POPにどっぷりハマりました。
やはり衝撃だったのは、K-POPのあらゆる面で高すぎるクオリティです。だけど当時はK-POPを取り上げる媒体がほとんどなかったので、K-POP情報を得られるMnetなどの各種ケーブルテレビに加入したり、新大久保に行ったり、ライブ会場で情報交換をしたり、SNSをディグしたり、ライフワークとしてその魅力をこつこつと分析して研究してきました。
そんな私にとって、今年は日本がK-POPというか、韓国エンターテインメントの魅力に気づいたと感じる1年でした。大きな要因は、新型コロナの自粛期間です。SNSとネットが全盛の世の中ですが、世論という意味ではテレビの影響力がいまだに大きい。そんな時こそ楽しい番組が観たいのに、感染予防の観点からテレビ局も機能停止してしまう。自宅で暇を持て余した多くの人がYouTubeやNetflixを見始めるのは自然な流れでした。
韓国エンタメは私がハマるはるか前から現在に至るまで常にハイクオリティで、日本でも相当数のファンが静かに熱く活動していました。。SNSの口コミからドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』が話題になって、次に去年日本で大ブレイクしたTWICEの妹分を決めるオーディション番組「Nizi Project」(以下、虹プロ)が盛り上がりました。韓国はオーディション番組大国で、そもそもTWICEもオーディション番組出身。「虹プロ」が秀逸だったのは、韓国のノウハウをそのまま持ち込むのではなく、「未完成なアイドルの卵を一緒に育てる」という日本のアイドル文化を尊重してローカライズしたこと。これにより、多くの人が自然に番組に入っていけました。
そして夏にはBTSが「Dynamite」をリリースします。彼らは2017年の段階ですでに世界的なビッグアーティストでしたが、こと日本においては、自粛期間以前と以後で受け入れられ方が変わったように感じます。たとえドーム公演を成功させていたとしても、これまではあくまで「K-POP好きの若者の間で盛り上がってる」存在でした。どこか斜に構えていた。ですが『不時着』や「虹」で多くの人が韓国エンタメの魅力、ヤバさに気づいた。「Dynamite」はコロナの閉塞感で窒息しそうな2020年を照らす、抜群に明るいディスコナンバーでした。しかもアメリカのビルボードチャートで2週連続で1位を獲得。もはや認めざるを得ないクオリティと実績、状況が生まれ、マスメディアも後追いで注目しました。繰り返しますが、K-POPはずっと前から変わらず、ハイクオリティでした。デジタルネイティブな若い世代は、とっくの昔にそれに気づいていた。だからBTSをはじめとするK-POPアーティストたちがドーム公演を成功させることができたのです。
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