製薬会社の情報クリッピングが激増!? 内外“切抜”通信社の変化とコロナ禍で雑誌が再評価される理由
#本 #雑誌 #内外切抜通信社
非常事態に信用できるのは紙メディアか?
「これまでに3つの困難を乗り越えてきた過去があるんですね。ひとつ目は山一證券破綻後の金融危機による景気後退。2つ目がリーマンショック、そして最後に東日本大震災。なので、4回目も大丈夫だろうと。私は前回の東京五輪(64年)直後の不況の深刻さを体験しているので、今回もオリンピック後は不景気になるかもしれないと話していたんですが、まさかその前にこんなことになるとは微塵にも思っていませんでしたよ」(近藤氏)
ほとんどの人たちが「今後どうなるかわからない」不安な気持ちを抱えながら今も仕事を続けている。そんな苦境に立たされながらも、本誌をはじめ新聞社や出版社は紙面・誌面を作り続けている。
「4~6月の期間、雑誌の合併号が相次いだことが、コロナの影響で一番目立っていた部分です。取材や撮影が行えなかったり、出社できないために編集作業が滞るといった話も聞きました。それでも週刊誌などは休まずちゃんと発売していましたし、新聞も含めて休刊はほとんどありませんでしたね」(牛崎氏)
書店の休業などに伴い、雑誌の売り上げは減少傾向にあったようだが、雑誌やコミック、映像作品のサブスクなどはPV数が伸びており、自粛期間中、人々が活字メディアへ目を向ける機会が増えてきたのは明らかだ。
「コロナ禍において、特定ジャンルの書籍や出版物の売り上げが伸びたという話も聞きました。ステイホームも相まって、本を読む時間が増えたメリットもあったので、マイナス一辺倒ではないのかなと思います」(小山氏)
毎日新聞社デジタルメディア局へ出向中の河原有希子氏によると「新聞もオンラインのPV数がかなり増えた」とのことで、人々が情報を得るために、改めて新聞というメディアにも注目が集まっているようだ。
「平和なときほどネットの浮かれた情報が求められがちですが、非常事態に信頼できるメディアとなると、新聞や雑誌が選択肢に入ってくるのでしょう」(小山氏)
新聞や雑誌が培ってきた信頼の大きさに人々が気づいたということだろうか。
「新聞にせよ雑誌にせよ、紙メディアは衰退の一途を辿っていると言われ続けていますが、今回のコロナによって、必要性を感じられたのは、紙メディアを扱う者としてはうれしい話でした」(牛崎氏)
紙メディアの真の価値を理解しているからこそ、設立から80年以上にわたりクリッピング業務を継続してきた内外切抜通信社。コロナをきっかけとした紙メディアへのニーズは、同社の存在意義にもつながるだろう。
(文・写真/大前 至)
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