マヂカルラブリー、M-1優勝は個性を貫いたから? 一貫性のない審査基準に振り回された敗者たち
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マヂカルラブリーの優勝で幕を閉じた『M-1グランプリ2020』決勝戦(ABC・テレビ朝日系)。クレイジーに動き回るボケの野田クリスタルに村上が説明とツッコミを入れていく、フリーダムなスタイルの漫才が日本一となった。
「マヂラブの漫才はいわゆる“しゃべくり”ではなく、だからこそ賛否両論分かれやすい。実際ネット上では、最終決戦で“しゃべくり漫才”をやった見取り図こそが優勝だったという意見もあります。ただ、笑いの量で言えば、マヂラブのほうが多く、審査員もその点を評価した形でしょう」(芸能 事務所関係者)
M-1は漫才の大会と銘打っているものの、“しゃべくり漫才”こそを高く評価するという審査基準があるわけではない、
「審査員のオール巨人さんは、しゃべくり漫才に高得点を与える傾向にあったのは間違いない。しかし、松本人志さんなどは、その日のネタがウケたかどうかを重視する傾向にある。そういった審査員ごとの審査基準のブレが、賛否両論を巻き起こしている側面もあります。逆に見取り図が優勝していたら、“マヂラブやおいでやすこがのほうが笑いの量は多かったのに、おかしい”という意見が出まくるでしょう」(構成作家)
さらに、審査を難しくしているのが「システム漫才」の存在だ。システム漫才とは、ある一つのフォーマットを作り出し、同じようなパターンのボケを繰り返すというもの。扱う題材を変えることで、ひとつのシステムで複数のネタを作り出すことができる。
「M-1がしゃべくり重視の大会だというのであれば、システム漫才はあまり評価されないはず。しかし、2019年大会でシステム漫才のミルクボーイが、しゃべくり漫才のかまいたちに勝った。つまり、漫才のスタイルではなく笑いの量こそが重視されているという証なんですよね。
一部のお笑いファンからは、“ミルクボーイは納得の優勝だったけど、マヂカルラブリーの優勝はありえない”なんていう声もありますが、その意見は矛盾していると言わざるを得ない。明確に“しゃべくり漫才を高く評価する”とアナウンスされていない以上、マヂカルラブリーの優勝はまったく違和感のあるものではないと感じています」(同)
また、今年のM-1では、“ネタがM-1仕様になりすぎている”という意見もある。テレビ局関係者はこんな感想を述べている。
「見取り図の1本目なんかは、わかりやすい漫才コントに仕上がっていて、本人たちのセンスや個性がそこまで反映されたものではなかったと思います。オズワルドのネタにしても、M-1では“大声ツッコミ”“盛り上がるポイントが後半にある”という漫才が高得点になりやすい傾向を踏まえた構成になっていました。
いずれもネタの完成度は高いものでしたが、“審査員ウケ”を意識したせいで個性が削られているという見方もできる。そもそも審査基準がないのに、そこに寄せていったということで、ちょっともったいない気もします。一方で、個性を貫いたマヂカルラブリーとおいでやすこがは、めちゃくちゃウケていたわけで、こちらのほうが正解だったのだろうと思います」
そもそも審査することが難しいお笑いなので、さまざまな意見が出てくるのは仕方ないこと。明確な審査基準が提示できない限り、こういった議論は今後も続いていくだろう。
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