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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 仲野太賀『恋あた』で魅せた人気の秘密

仲野太賀「下克上俳優」としての底力…『恋あた』で魅せた脇役にとどまらない人気の秘密

この恋あたためますか』公式サイトより

 恋人となった森七菜仲野太賀の仲睦まじいようすに、心温まった視聴者は多かったようだ。12月8日放送の『この恋あたためますか』(TBS系)の第8話では、ついに付き合うことにした樹木(森七菜)と新谷(仲野太賀)の楽しげなデートや、新谷が樹木を大切にしようと奮闘するシーンがふんだんに描かれ、SNS上では「キキマコ永遠であれ」「だからもうこの二人がいいって!」と盛り上がりを見せていた。ストーリーは佳境に入り、おそらくこのあと二人は別れてしまい、樹木は中村倫也演じる浅羽と結ばれるのだろう。しかし、難しいと分かりつつも「新谷に幸せになってほしい!」と望む声は多い。

 中村倫也の完璧なイケメンっぷりには及ばないかもしれないが、このような“新谷派”は少なくない。回を重ねるごとに大きくなっていく樹木への思いは、浅羽よりむしろ新谷のほうから強く自然に感じられてたことを考えると、演技力では決して中村に劣らない。

 新谷と同じく、仲野が脇役として輝いたことで記憶に新しいのがドラマ『今日から俺は‼︎』(日本テレビ系)の今井勝俊役だ。実は『恋あた』の第8話で、新谷と樹木がUNOで大盛り上がりして叫ぶシーンでは「これ今井じゃん!」と喜ぶ視聴者もいた。役名が自然に出るほど、印象に残るはまり役だった。

 『今日から俺は‼︎』は明るいツッパリ学園コメディで、仲野は主人公の三橋貴志(賀来賢人)を打ち負かすことに青春をかける怪力バカの番長を熱演。ドラマの放送は2018年だが、2020年の劇場版の公開にあたって地上波で放送されたスペシャルドラマでは、なんと今井が主役に抜擢されている。これをきっかけに仲野を意識したファンも多く、こちらも主演に引けを取らない人気を博していた。いわば「下克上俳優」とでも言うべきか、脇役として人気を出していくのが上手いのだ。

 俳優である中野英雄を父に持つ仲野なので、幼いころから父の仕事を見てきたという経験も大きいのかもしれない。今井のようなコミカルな役柄から、時にシリアスな役柄まで幅広く演じられる仲野。『恋あた』は身近なコンビニが舞台だが、例えば中島哲也監督の『来る』のようなホラーエンタテインメントや、深田晃司監督の『海を駆ける』のようなファンタジー作品でも、仲野の自然な演技はいい仕事をしている。どこにでもいそうな「普通の人間」を演じられる仲野の力は、どんなストーリーにも信憑性を与えてくれるのだ。

 『恋あた』でも、新谷はごく普通の男だ。優しさがあり、友情と恋心の間で葛藤し、仕事にそれなりの情熱を持ち、少しでもいい自分になろうとしている。対して、現実ではなかなかお目にかかれなさそうな設定が満載なのが浅羽だ。それが突飛になっていないのは、中村の演技力もさることながら、新谷が友人であるという点も重要である。新谷が醸し出す“普通さ”が、浅羽の“普通”な部分をうまく引き出していると言える。

 才能に溢れた若手女優・森七菜、カメレオン俳優と名高い中村倫也、初の主演映画で数々の賞を受賞している石橋静河。何気にとても演技派揃いの四角関係だが、仲野も、そこに名を連ねる一人として抜擢されただけあるのだ。仲野演じる新谷が視聴者の心を掴んでいるのは、その自然さと、他の演者を生かして物語に馴染ませていく彼の技術力にあるのかもしれないと『恋あた』を見ていて思う。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄、大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2020/12/15 16:41
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