宮下かな子、黒澤明映画『生きる』で自分を見つめ直す… “生きる意味を見つけた人間の瞳の輝き”の演技に脱帽
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ドラマ『チャンネルはそのまま!』(HTB)や「SOMPOケア」のCMなどに出演し大注目の女優、宮下かな子さんが、昭和のキネマを見て女優道を勉強していく新連載がスタート!第1回は、ちょうど今の時代・季節にぴったりな、名匠・小津安二郎の映画をピックアップする。
皆さまこんにちは! 「宮下かな子と観るキネマのスタアたち」楽しんで頂いただけていますか?
あっという間に12月も半ばに入りましたね。夏前は、「真夏にマスクなんて暑くて耐えられるかなぁ」なんて心配していたのですが、いつの間にか乗り越えていて、もう冬。服を着るようにマスク着用も当たり前になっていて、人間の順応性ってすごいなぁ~と、街を歩きながら考えています。
さて、今回はご紹介するのは、黒澤明監督『生きる』(1952年東宝)です! 前回に引き続きドシっと重めの作品になりますが、こんなご時世の今だからこそ、観て感じていただきたい1本です。
実は私、ずっと黒澤映画を観れずにいたんですよ。観よう観ようと思いながらも、ビジュアルから漂う男くさい感じ、いやあれは〝漢〟ですね。あの漢くささにひるんでしまって、なかなか手が出せずにいました。
そんな時、TOHOシネマズの「午前十時の映画祭」でこの作品が上映されていて。映画館だったらさすがに逃げないぞ、と思って観た、私の黒澤デビュー作です。この作品がきっかけとなり、ほかの黒澤映画も観るようになりました。
ちなみに私の大好きな「午前十時の映画祭」、今年は開催されていませんが、また来年から復活するようです! 名作をスクリーンで観たい方、まだ観れていない作品をこの機会に映画館で観たい方などいらっしゃいましたら、是非チェックしてみてくださいね。
それでは、私と同じように黒澤映画まだ観れていないぞ、という方が、この記事をきっかけに観ていただけたらとても嬉しいなぁ~なんて思いながら、今回も楽しくご紹介していこうと思います。
〈あらすじ〉
主人公・渡辺勘治はアト1カ月で30年間無欠勤となる市役所市民課長。仕事への熱意はなく、無気力にただ書類にハンコを押すだけの日々を送っていた。ある日、自分は胃癌で余命が残り僅かだと悟り、人生を見直していって……。
この作品の冒頭、レントゲン写真が映され、「これは、この物語の主人公の胃袋である。」というナレーションで始まるのですが、私、この始まり方が大好きなんです!胃袋で始まるインパクト感と斬新さ、そしてこのナレーションの男性の声が渋くて良いんですよねぇ。
さてさてそんな胃袋の持ち主、渡辺を演じるのは志村喬さん。黒澤映画常連の役者さんです。丸まった背中やおぼつかない足取り、呼吸の仕方から、主人公のバックグラウンドが感じられます。志村さんは、同じく黒澤映画『七人の侍』(1954年)で気迫あふれる侍を生き生きと演じているのですが、『七人の侍』のほうがこの作品よりも後に撮られていると思うと、本当に驚いてしまうくらい、今回は覇気のない中年男性を演じています。
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