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明石市がLGBTのための新制度導入―社会的地位向上に“一石を投じる”か?

明石市がLGBTのための新制度導入―社会的地位向上に一石を投じるか?の画像1
※イメージ写真(GettyImagesより)

 兵庫県明石市が2021年1月8日から全国でも初めてとなるLGBT(性的少数者)の家族関係を証明する「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入する。同制度のLGBTにとって、新たな道を開く契機となる可能性がありそうだ。

 LGBTは「Lesbian」(レズビアン、女性同性愛者)、「Gay」(ゲイ、男性同性愛者)、「Bisexual」(バイセクシュアル、両性愛者)、「Transgender」(トランスジェンダー、心の性と身体の性が不一致の者)の頭文字を合わせたもの。社会的にも理解され始め、LGBTに対する取り組みも進み始めている。

 それでも、LGBTが“法的”に認められるための障害は高い。日本では同性婚は認められていないため、LGBTのうちレズビアン同士、ゲイ同士の婚姻はできない。トランスジェンダー(性同一性障害者)については、法的に性別の変更が可能だが、厳しい要件がある。

 日本では2003年に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、特例法)が成立した。同法は性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いについての特例を定めたもので、要件を全て満たす場合には、家庭裁判所が性同一性障害者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。

 その要件とは、①20歳以上であること②婚姻をしていないこと③未成年の子がいないこと④生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること⑤身体に他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていることの 5 つ。

 要件を満たし、性別変更の審判を受けた者(性別の変更が認められた者)は、民法その他の法令の適用について、他の性別に変わったものとみなされる。これにより、新しい性別による婚姻や養子縁組等が可能となる。また、新戸籍には「性同一性障害」という言葉が残ることはない。

 家庭裁判所の審判により性別変更が認められた件数の推移は表のようになっている。04年には97人だったが、その後は右肩上がりに件数が増加して19人には948人が性別変更を認められ、延べ人数では9624人と1万人に迫っている。

 それでも審判を受けるための要件を満たすのは大変だ。

 ①の20歳以上であることは、成年年齢で他の法律との平仄を合わせたものだが、18年6月の民法改正により、民法上の成年年齢が18歳に引き下げられるため、22年4月1日から特例法の年齢要件も18歳に引き下げられる。

 ②の婚姻をしていないことは、婚姻している性同一性障害者に性別変更を認めた場合に同性婚の状態が生じることを防止するため。③の未成年の子がいないことは、「女性の父親」や「男性の母親」が生じるで、家族秩序の混乱や子どもの福祉への影響を懸念したため。

 そして、④の生殖腺がないことまたは生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあることは、元の性別の生殖機能によって子が生まれることで様々な混乱や問題が生じかねないことや、生殖腺から元の性別のホルモンが分泌されることで何らかの身体的・精神的な悪影響が生じる可能性を否定できないことなどを理由としている。

 また、⑤の身体に他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていることは、公衆浴場や公衆トイレの問題等、社会生活上の混乱が生じる可能性が考慮されたものだ。

 これらの要件については、現時点でも様々な議論があるものの、法的に性別を変更しようとすれば、生殖腺の機能をなくし、身体の外観を変更したい性別に変えなければならない。現在では、いわゆる性転換手術が認められているは、かつては、睾丸摘出、陰茎切除および造膣手術を行った産婦人科医が優生保護法第28条違反で有罪となった「ブルーボーイ事件」も発生している。

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