NHKほか、メディアがバイデンを“次期米大統領”と呼べない複雑な裏事情　無視できないネトウヨと福音派の反発

トランプは神が選んだ!?

　中川牧師も含め、福音派は聖書を字義通りに解釈する宗教保守派だ。

　トランプが米歴代政権の方針を転換して、エルサレムをイスラエルの首都として認め、在イスラエルの米大使館をテルアビブからエルサレムに移転したことを歓迎している。しかし、福音派以外の国内の他のキリスト教団体はこうした中川牧師の言動に冷ややかだ。

「中川牧師がまるで神がトランプを米大統領に相応しいとしたかの如く話すから、熱心な信者はそれを鵜呑みにしてしまう。民主党左派が暴動を起こすと言うのは言い過ぎだ。キリスト教に馴染みのない人たちは我々全員がそうした陰謀説を信じていると誤解してしまう」（カトリック団体関係者）と、日本国内にカトリック、プロテスタント系を含め全宗派合わせても約192万人と人口の1.1%しかいないキリスト教関係者全体への悪影響を懸念する。

　バイデンが来年1月20日に無事、大統領となれば、ジョン・F・ケネディ以来、米史上二人目のカトリック信徒の大統領となる。一方の福音派は米国民の4人に1人、約8400万が信仰していると言われ、彼らがトランプの岩盤支持層となっている。

　ネトウヨの激しい抗議に、米宗教右派の福音派と深い関わりを持つ日本国内の一部福音派による熱狂的トランプ支持。日本の主要メディアは、数は少ないながら、声が大きいこれらの人たちにも一定の配慮を示さなければならないから、これまでバイデン次期大統領と表記することに躊躇してきた。

　12月14日には各州の選挙人が選挙結果に基づき、次期大統領への票を投じる選挙人投票が行われる。その結果を受け、まだバイデンを次期大統領と表記していないNHKを含む残るメディアも、バイデン次期大統領への表記に舵を切るのかもしれない。