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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 菅首相「桜疑惑」はやはり官邸リーク?

菅首相、特捜部の捜査は止めていない――「桜疑惑」はやはり官邸リークか?

安倍の「桜を見る会」疑惑を追った「文春」に拍手!

 今週の第1位は、安倍の「桜を見る会」疑惑を追った巻頭の記事に贈りたい。

 なかなかよくできた調査報道だと思う。

 東京地検特捜部が安倍晋三前首相に任意の事情聴取を要請したと共同通信(ネット版12月3日12時19分)が報じた。

 ついに「桜を見る会」の前夜祭疑惑の本丸に特捜部が斬り込んだのである。現職ならばこの事実だけで「辞職」に追い込まれるかもしれない。

 なぜなら、文春が報じているように、
「安倍氏は昨年11月15日、約二十分間という異例の長さのぶら下がりに応じ、明確にこう答えているのだ。『事務所から詳細について今日報告を受けた。(略)安倍事務所としての収入・支出は一切ない』」

 現職の首相が、前夜祭と称して地元有権者たちにホテルニューオータニに来てもらって、食事&飲み放題で会費5000円という安い値段で大盤振る舞いした。当然ながらそれで足りるわけはなく、安倍事務所が差額を「補填」していたはずだが、そうなれば公職選挙法が禁じている寄付行為にあたる。

 また、政治資金報告書への記載もないため、政治資金規正法違反にも抵触するはずである。

 だが、この疑惑が報じられてから1年近く、安倍は、そうしたことは一切ないといい張ってきた。

 昨年11月14日にNHKが、ニューオータニのコメントとして「最低価格は1万1000円からで値切り交渉には応じられない」と報じた。

 すると文春によれば、翌日、安倍事務所はニューオータニの幹部を議員会館に呼び出したという。先のぶら下がり会見に応じたのはその翌日である。

 その前段階として、10月には閣僚二人が、文春の報じた公選法違反疑惑で連続辞任していたから、「公選法違反は進退に直結する問題」(文春)になっていたのである。

 安倍本人が危機感を感じたことは想像に難くない。そこで政治家がよくやる「秘書がやったことで、自分は知らなかった」というアリバイ作りのために、「確認したが担当者は『支出はしていない』といった」ことにしたのだろう。

 この担当者は、文春によれば、安倍の資金管理団体「晋和会」の会計責任者で、既に特捜部から事情聴取されている私設秘書の西山猛だという。

 読売新聞が「安倍首相秘書ら聴取 『桜』前夜祭 会費補填巡り」とスクープした11月23日の翌日、西山は朝日、読売、毎日など旧知の記者たちを議員会館に集めてこういったというのだ。

「総理に補填していると答弁させるわけにはいかなかった。(中略)記載しなかった私が悪い」

 安倍本人に本当のことを伝えたのは、読売が報じた当日だったそうだ。罪は私が全部被るという、これまで何度も繰り返されてきた「秘書が、秘書が物語」である。

 一方で安倍は、捜査リスクを排除するために「官邸の守護神」といわれていた黒川弘務東京高検検事長(当時)を、定年延長させて次の検事総長にするという“奇策”を実行に移した。

 黒川ならば、自分に捜査が及ばないように手を打ってくれるに違いない。その思惑は成功したかに見えたが、文春が黒川の「賭け麻雀」問題を報じたことで、安倍の奇策は水泡に帰した。

 やがて安倍は「もう嫌になった」と辞任をほのめかすようになる。体調も悪化していく中で、公選法の疑いで河井克之夫妻が逮捕される。

 さらに5月21日に全国の弁護士たちが安倍や秘書らに対して出していた告発状を、8月に入り「特捜部は密かに受理した」(文春)という。ということは、安倍の辞任が近いということを特捜部は掴んでいたのではないか。

 安倍が突然辞任したのは、「現職首相として、捜査のメスが入るという最悪の事態を切り抜け」(文春)るためだったのではないか。

 今回、特捜部の動きを読売新聞とNHKがスクープできたのは、官邸がリークしたのではないかといわれている。菅首相は特捜部の捜査にストップをかけていないし、スクープが報じられたのは、予算委員会の集中審議を控えていた2日前だった。

 コロナ感染拡大が広がっているのに、GoToキャンペーンを止めない菅への批判が高まっていた。その批判の矛先を安倍の「桜疑惑」に向けようとしたのではないか。

 文春によれば、読売の報道の数日後、安倍はこういったという。「腹が立つなぁ」。菅のほうは、持病悪化が嘘のように毎晩会合に顔を出し、「私なら冒頭解散する」などと豪語する安倍に対して、こうこぼしているそうだ。

「いつまで権力者気取りなんだろうね」

 権勢を誇った田中角栄がロッキード事件で東京地検特捜部に逮捕されたとき、三木武夫首相は指揮権発動をしなかったばかりでなく、「田中を最後に逮捕してくれれば政治ドラマとしてはこの上なくうまくいったのだが」と不満を漏らしたと伝えられる。

 これまで権力者に這い蹲っていた人間でも、自分が権力を持てば前の権力者を排除しようとするのは政界でも産業界でも同じである。

 少なくとも、秘書の略式起訴は避けられないといわれる「桜疑惑問題」だが、安倍が全容を知りうる立場にいたことは間違いない。

早くも“スガーリン”といわれる冷徹な菅首相だから、特捜部に「徹底的に調べろ」とGoサインを出すかもしれない。何か日本も韓国政界のようになってきたようだ。(文中敬称略)

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