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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『逃亡者』な渡辺謙と渡部建

『逃亡者』な渡辺謙、逃げ切る道筋が見えない渡部建 有吉弘行「そろそろケン・ワタベもね」

光浦靖子「世代が違うのかな? 『刃牙』のほうがわかる」

 同じ週に同じ話題が出てくるといえば、先週は「みちょぱちょぱちょぱ」と2回聞いた。1回目は、『IPPONグランプリ』で、笑い飯・西田幸治が大喜利で「みちょぱちょぱちょぱ」を含んだ回答を。2回目は、30日の『かまいガチ』(テレビ朝日系)で、かまいたち・山内健司が即興ラップをする流れで「みちょぱちょぱちょぱ」と発言。これも普段から、みちょぱはテレビで「ちょぱちょぱ」言われてるのだと思う。というか、みちょぱがテレビに出ずっぱり。今日もテレビはみちょぱちょぱ。

 話は変わって、30日の『あさイチ』(NHK総合)。この日は番組後半で、「男だから」「女だから」といった「性別の押しつけ」が話題になっていて、そこにヒコロヒーとみなみかわが漫才を披露していた。

 2人のネタは男性がスタンダードになっている芸人の文化にツッコミを入れるもの。ネタの後半では女性のヒコロヒーが「男みたいな女」を、男性のみなみかわが「女みたいな男」を演じ、役割を反転させて社会のジェンダーバイアスを浮き彫りにする。2019年のM-1グランプリ予選で話題になったネタが元だけれど、批評性が高い上に面白い。視点を反転して、新しい「そういう目」を備え、世界を改めて眺めることの面白さ。

 で、2人の漫才にはこんなくだりがある。ピンスポの中で大喜利をやってみたいというヒコロヒー。大喜利のお題は、「こんな『ドラゴンボール』は嫌だ」とか「こんな『北斗の拳』は嫌だ」とかばかりだと嘆く。

「うんざりですよ男寄りのお題ばっかり。『こんなママレード・ボーイは嫌だ』でしょ」
その後も彼女は「男芸人が平場とかで『(グラップラー)刃牙』のボケとかいってるとき、女芸人どうしてると思ってるんですか。隅の方いって、愛想笑いさしてもろてます」などとネタにした。

 そんな漫才が終わると、ゲストの光浦靖子が言う。

「『ママレード』のほうが逆に(わからない)。世代が違うのかな? 『刃牙』のほうがわかる」

 この光浦の何気ない補足、性別にせよなんにせよ、多様性はカテゴリーとカテゴリーの間だけでなく、ひとつのカテゴリーの中にもあることを改めて感じさせる。多様性の名の元で得てして単純化されかける現実を、改めて多様性に差し戻す。そんな空気を読みつつ水を差す所作が面白い。

 もちろん、カテゴリーを際立たせるのも面白い。5日『ゴッドタン』(テレビ東京系)では「マジ歌ルーキーオーディション」の後編が放送されていて、そこで蛙亭の岩倉美里が「今まで作家さんに言われてきた言葉」を歌詞に乗せて歌った。

「女にしては面白い」「女がネタ書いてるんだ? 意外だな」「女がハゲのカツラを被ってるのは笑えない」「トガってる女は痛々しい」「相方に抱きついてるネタのときは胸は当たってるの?」「普通に可愛く見えて、ネタが入ってこなかった」

 そう立て続けに羅列した彼女は叫ぶ。

「全部ヘラヘラして乗り越えてきた。全部ヘラヘラして耐えてきた。耐えられた理由はただひとつ。私は……私はお前らより絶対に面白い。面白くないやつに見下されても全然悔しくない。面白い人は性別で笑いを判断しない。そこにある、ただ面白いか面白くないか、ただそれだけ。それだけが紛れもない真実」

 アーティストのMOROHAが好きだという彼女が畳み掛けるように歌う、ド直球なマジ歌。聞いた劇団ひとりも「鳥肌立ってる」と感想を。なるほど、テレビの画面がフラットになっても、そこに映るものはザラザラし続けるのだろう。

 最後に、3日の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)。キックボクシングの那須川天心が、「タレントとして生きていきたいんですよ。テレビとか呼ばれるんですけど、格闘家のとかじゃなくて、普通にタレントとして呼ばれたい」と言っていて、もう「そういう目」で見てしまう。すごいなぁ。同番組での熱湯風呂へのチャレンジはあまり面白くなかったけれど、「あの程度でなれる」ものとしてタレントを認識しているのだなぁ。キックボクシングでの輝かしい戦歴があれば、タレントになれるのかなぁ。私は格闘技を知らないので、よくわからないのだけれど。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2021/09/21 11:18
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