『家、ついて行ってイイですか?』家族より親友を選んだ男は、我が子にピンポンダッシュされて喜びを噛みしめる
#テレビ東京 #家、ついて行ってイイですか?
11月25日放送の『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「全国衝撃物件20連発! そんな人生あり!? SP」。タイトル通り、ついて行くとその人の人生が透けて見えるような物件ばかりが登場した。
飲食業を目指した男の集大成は、自宅を“自作居酒屋”にすること
東京・台場で開催されたイベント「プリンフェス」でスタッフが声を掛けたのは「家でよくプリンを作る」と言う浅草橋在住、板金屋勤務の49歳の男性である。「ちょっと変な家なんですけど構いません?」とのことだが、もちろんOKだ。何なら、我々はそういう物件を見たいのだから。
――家はどんな雰囲気なんですか?
男性 「僕の家に来る人には毎回言ってるんですけど、見てのお楽しみ」
――結婚歴はないんですか?
男性 「ないです。平成元年に東京に出て来て、30年1人暮らしです。1人でいいやっていうね(笑)」
家に到着すると、驚きだった。
男性 「こういうことです」
――お店みたいになってるじゃないですか!
男性 「はい(笑)」
カウンターがあるし、業者っぽい冷蔵庫があるし、本格ガスオーブンまである。まるで居酒屋みたいなのだ。ワンルームの部屋を自分で改造したらしい。棚や柱なども含め、全て男性が自作している。ここに板金屋のスキルが生かされているのか?
そして、料理の腕もいい。「チキンカツ定食」「キノコのマリネと菜の花ピザ」「コンビーフチーズ焼き」と多彩なメニューが用意されており、どれも美味しそうだ。「家でよくプリンを作る」という彼の言葉には納得である。
しかも、この家にはビールサーバーがある。注がれたビールの泡を見れば、綺麗にグラスを洗っていることはすぐにわかった。もちろん、ビールだけじゃない。たくさんの洋酒や珍しいウイスキーが所狭しと並べてあるのだ。
この家は仲間内のたまり場である。男性がTwitterで「誰か遊びに来い」と呼びかけると、それを見た友だちがぞろぞろと飲みに訪れる。多いときは週に4~5回、彼の部屋で宴が行われているらしい。
「美味しいものを買ってきて、出してあげるとみんな楽しいじゃないですか。みんなが『もう食いきれねえ』って言うまで出し続けるので、ひどいときは10何品出ます」
ちなみに、男性の趣味は声優の追っかけ。オフ会などで知り合った仲間たちと飲みながら声優やアニメの話に花を咲かせているらしい。そういえば、洋酒の間にフィギュアが置いてあった。ヲタ話しながら食べたり飲んだりできるなんて、なんて最高なのだろう!
そして、いくら料理を振る舞っても仲間からお金は取らない。“お賽銭”という形で寄付を募る程度だ。月に集まるのは10万円前後だが、それじゃあせいぜい光熱費くらいにしかならないはず。この男性の年収は約600万円で、独り者だからこそこんな趣味が許されている。まさに、独身貴族。こういう生き方は絶対楽しいと思う。男性には人徳がありそうだし、人の良さそうな笑顔には惹きつけられる。というか、いっそのこと店を出せばいいのに……。
「元々、店を最後に持ちたいなとずっと思っていたんで。転職の流れも実は飲食店を開くための流れなんですよ」
上京して最初は鋼材屋に勤め、後にレジ屋へ転職。その職場に勤めながら内装屋と厨房屋も始め、次にイタリアンベースのステーキハウスのコックへ転職した。しかしあまりの過酷さに挫折し、現職である板金屋に就く……という流れのようだ。つまり、夢の実現のために転職を重ね、スキルを身に付ける30年だった。
「最後は飲食店と思っていたのが夢破れちゃったので『じゃあ、いっそのこと今までの集大成で部屋改造して遊び場にしちゃえ』って、出来上がったところがこれ(笑)」
コックを挫折したのは残念だが、紆余曲折の末に辿り着いたこの家はまさに男の理想郷だ。他人の家なのに、見ているこっちのテンションまで上がるくらいである。
「頑張ってる子たちがお金がないって話もあるし、仕事もなんかしんどそうだし、だったらここでたらふく飲んで(お賽銭は)1,000円でもいいわけですよ。その子らが出世して、俺がジジイになったときに『あのとき世話になったな、ジジイ』ってちょっと何かしてくれりゃいいなっていう甘い期待もありつつ(笑)」
こういう人ならば、独身でも孤独死はしない気がする。このまま人に囲まれて幸せに暮らしていけるのでは? 筆者も独身だが、考えさせられることは多かった。お金があっても楽しく生きるのが下手な人はたくさんいる。でも、この男性は楽しむのが上手な人だ。人生はやはり楽しまないといけない。前向きで明るい気持ちになれる物件だった。
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