「070の意味わかるやろ?」関西ラップ“DIRTY KANSAI”の若頭Young Cocoが歌う黒い仕事とポジティブな愛
#音楽 #ヒップホップ #DIRTY KANSAI #Jin Dogg #Young Coco
1000円であちこち行ける関西はニューヨークみたい
――Cocoさんは、ものすごくポジティブな人なんですね。
YC 悔しい思いはいっぱいしてきましたけどね。でも、嫌なことは友達と話して解消するようにしていました。今はJakeも含め、周りに同じビジョンのヤツらがいっぱいいて、みんなが俺を認めてくれている自負があるから、あまりネガティブなモードにはならないです。昔のヒップホップは「マニー、パワー、リスペクト」だけだったけど、今は「マニー、ラブ、リスペクト」だと思うんですよ。「090!!!」の話にも通じるけど、レックしてるときに仲間がいるとポジティブになれるんです。しかも、その曲はそこにいたヤツらにとっても特別な曲になって、「Cocoがヤバい曲作ってた」っていい噂も生まれる。プライベートで嫌なことがあっても、いい曲が作ることができれば俺はいつでもポジティブになれますね。
――以前、変態紳士クラブ(WILYWNKA、レゲエ・ディージェイのVIGORMAN、プロデューサーのGeGからなる大阪のユニット)に取材した際、「関西はみんな仲がいいけど、音楽面では馴れ合うことなく切磋琢磨している」といったことを話していました。
YC 確かに、関西はみんな仲いいですね(笑)。1,000円で大阪、京都、岡山、神戸、奈良みたいな関西圏は全部行ける。これってニューヨークとあんま変わんない。クイーンズに行ったり、マンハッタンに行ったり。その感覚でいったら、俺は関西全部がフッドだと思っている。ジャグさん(JAGGLA)や孫くん(孫GONG)みたいな先輩も高校くらいから俺のこと知っているし、MaisonDe(Shurkn Papなどを擁する兵庫・姫路のクルー)の子たちもラップ始める前は俺のライブに来てくれていたんですよ。
――関西=ニューヨーク説、面白いですね。
YC でしょ? そんな中でも変態は今、俺より高いところにいて、いろいろプレッシャーも感じていると思うんです。彼らには「俺と一緒にやるときは、もっと自由になっていいよ」って伝えてます。音楽を一緒に作ることは、なによりもまず楽しいことが一番。でも、「いいやん、いいやん」しか言わないイエスマンに囲まれていると、新しいクリエイティブが生まれなくなる。俺は自分の音楽がUSと同じ土俵にいないと気が済まない。USでトラップをやっているラッパーは、リスナーが求めることなんて気にしていないと思うんですよ。そのためには、音楽を自由にやることが大事。みんな心の中をさらけ出せば、結果、ヤバいものが生まれて、それがスタイルになっていくと思う。
――USのヒップホップ・シーンと同じ土俵に立つということは、今後はメジャー・レーベルとの仕事も視野に入れているんですか?
YC メジャーというか、やれることは全部やりたいです。日本のヒップホップの流れを変えたいから。俺らみたいなスタイルのヤツが出てきても、確実に食っていける状況にしたい。そうするためには、仮にメジャーから話が来たとして、「2年で何枚アルバムを作りなさい」って契約をして、大きな制作費をもらって意気込んでも、アルバム何枚か出して燃え尽きちゃ意味ないと思う。だから、俺は毎日作っている。メジャーもインディも関係なく、いつでもアルバムを出せる。それがライフスタイルなんで。音楽に限った話じゃないけど、結局、毎日努力しているヤツが一番ヤバいんですよ。ただ、俺や〈HIBRID〉だけでは状況を大きく変えることはできない。こんな狭い島国なんだから、関西だけじゃなくてシーンのみんなで上がっていきたいですよね。そしたら、USのヒップホップみたいな状況が作れるんじゃないかなって。
●プロフィール
Young Coco(ヤング・ココ)
1996年生まれ。兵庫県西宮市出身。〈HIBRID ENTERTAINMENT〉所属のラッパー。「KONOMAMA」(17年)、Yo-Seaと共にフィーチャーされたDJ KANJI「22VISIONRemix)」などがシーンでヒット。アルバムに『ALTERD』(19年)、『NOT REGULAR』(20年)。これまでにアメリカのラッパーであるOG MacoやDa$h、韓国のプロデューサーJunior Chefとコラボレートもしてきた。
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