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『この恋あたためますか』で中村倫也が魅せた“ズルい男の沼“とは? 『凪のお暇』ゴンさんとの共通点も

この恋あたためますか』公式サイトより

 森七菜主演のドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)の第5話が11月17日に放送された。物語は中盤にさしかかり、大きな転換期を迎えたが、ここにきて中村倫也演じるコンビニ社長・浅羽の“ズルい男っぷり“が視聴者の心を揺さぶっている。

 浅羽はコンビニ店員だった樹木(森七菜)の才能を見出し、スイーツ開発を託し、樹木が落ち込めば慰めて社員に昇格させ、お祝いに服やバッグまでプレゼントしている。居眠りする樹木に上着をかけてあげたこともあった。年上男性にここまで優しくされて、21歳の新米社員の樹木が、コロッと落ちてしまうのも無理はない。

 しかし浅羽は散々樹木を気にかけておきながら、樹木の先輩であり元カノの里保(石橋静河)が、傷ついていると優しい言葉をかけて抱きしめるのだ。嫌いで別れたわけではなかった里保の心はすぐに浅羽に傾き、第5話では休日デートをした2人。復縁を望む里保から手を握られ、浅羽は「好きだ」「やり直そう」などといった決定的な言葉は決して言わずに、抱きしめることで復縁を果たした。

 そしてラストシーンでは、あれだけ構っていた樹木から体当たりで「好きなの」と訴えられるが、顔も見ずに無言で車を発車し、置き去りにするという仕打ち。なんと罪深き、ズルい男ではないか。

 このズルい男っぷりが、ハマるのが俳優・中村倫也のすごいところ。彼は優しい役や抜けた役だけでなく、サイコパスやモラハラ夫など巧みに演じ分け、それぞれが不思議とぴったりとハマるのだが、なかでも2019年放送の『凪のお暇』(TBS系)で“メンヘラ製造機”と言われた究極の人たらし・ゴン役は、誰もが認める中村のハマり役だった。ゆるい雰囲気で、優しく包容力があって、溢れ出る色気に誰もが虜になってしまう。これは中村本人が持つ雰囲気に近いものがあるのだろう。

 だが、それだけではない。周りが翻弄されるのは、その中村が持つ天性の“ズルさ”にあるように感じる。ゴンにしろ浅羽にしろ、一見優しいがつかみどころなく、何重にも鍵をかけて相手を寄せ付けずに、本心をさらけ出さない。来るもの拒まずのゴン、本心を見せない浅羽。共通するのは、相手に委ねてしまうところ。それ故にズルい男と思うのである。

 中村のズルさは、言葉ではなく、間の取り方やちょっとした表情などの演技から滲み出る。間で含みをもたせ、仕草や表情で見る者に真意を想像させる隙間を作る。その隙間に入り込んで真意を読み取ろうとした視聴者は、もはや中村の手の上だ。あくまで落ちるのは自己責任とでもいうように。

 『恋あた』が始まった当初、正当なイケメン役では中村の良さが出し切れない、これでは中村倫也の無駄遣いだ、などといった声がネット上でちらほらと囁かれていた。だが、ここにきて浅羽のズルさが見えるほどに、しっくりとハマって魅力が増し、周りを翻弄している。ズルさから滲む色気こそが、中村の醍醐味なのだ。

 おそらく次回以降、里保と復縁した浅羽と樹木の関係に何かしらの進展があることだろう。きっとますますズルい男になっていくことが期待される。視聴者からも「ズルい!でも好き!」そんな声が聞こえてきそうだ。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄、大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2020/11/24 11:30
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