電通グループ、コロナ禍で営業利益半減するも官公庁からの売り上げは急成長
#電通 #コロナ禍 #官公庁 #五輪延期
電通の収益が半減―先週、同様の見出しを付けた複数の記事がネット上に踊った。
そのひとつ、時事通信の報道によると、「電通グループが10日発表した2020年1~9月期連結決算(国際会計基準)は売上高に当たる収益が前年同期比9.4%減の6763億円、本業の儲けを示す営業利益は185億円に半減した」とある。
同記事は、収益低迷の原因として、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内外でテレビやインターネット向けなどの広告需要が落ち込んだことや、年末から来年3月にかけて実施される早期退職プログラムや退職者を対象に業務委託を手がける新会社設立などのコストとして251億円を計上したことを挙げている。
広告業界の巨人も、新型コロナには勝てなかったか……。そう思いながら筆者は電通が公開しているIR情報を紐解いてみた。確かに「2020年12月期第三四半期決算短信」に記された、2020年1月1日~2020年9月30日の連結業績では、営業利益は前年同期比で50.1%減となっている。
また、純粋持ち株会社である電通グループの根幹をなす、直接出資子会社、株式会社電通の売上総利益も、前年同期比で13.3%減となっている。
ところが、株式会社電通の業種別売上高のなかに、急成長している項目があった。
「官公庁・団体」からの売り上げが、前年同期比で95.2%も上昇しているのだ。ほかの項目のほとんどが減少となっているなか、ダントツの成長率である。さらに売上高でみても、1355億6800万円と、全業種において最も大きな収入源となっているのが「官公庁・団体」なのである。種々の公共事業や自民党からの収入もここに含まれるとみられる。
ちなみに2019年度決算(2019年1月~12月)でも「官公庁・団体」からの売上高は前年同期比で79.0%増となっている。
グループ全体としてはコロナ禍にあえぎながらも、株式会社電通による「官公庁・団体」からの収入のみが急拡大していることについて、『電通巨大利権~東京五輪で搾取される国民』(小社刊)などの著者があるノンフィクション作家の本間龍氏はこう話す。
「電通の売り上げの中で官公庁・団体だけが前年比95%以上のプラスというのは、やはり持続化給付金における広報費と中抜き部分、さらに五輪におけるスポンサー費収入などが大きく貢献したと思われます。五輪に関しては電通スポーツ局がメインでやっており、延期が決定したのちも約150人が組織委に継続して出向し、業務にあたっています。
さらに、現在政府が準備を進めているデジタル庁創設にも、電通が関与しているようです。株式会社電通内には、こうした中央官庁や自民党からの案件を専門に扱う『PAC』(パブリック・アカウント・センター)なる部署が存在するほどです」
コロナ禍と五輪延期で暴利を上げている部門があるとすれば、まさに焼け太りというしかない。
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