次期米副大統領カマラ・ハリス氏は次々大統領も確実？　これまでになく注目されるワケ

2024年の民主党大統領候補として本命視されるハリス

　歴史的経緯はさておき、今回、カマラ・ハリス上院議員が副大統領として確実視されることについては、これまでにない注目が集まっている。女性としての初の、アフリカ系・アジア系としても初の副大統領となるだけでなく、4年後の2024年の大統領選を見据え、すでに彼女が民主党の大統領候補として本命視され始めているからだ。

　過半数の270人の選挙人をはるかに上回る306人の選挙人を獲得したジョー・バイデン前副大統領は1942年11月20日生まれ。来年１月20日の大統領就任時は78歳と史上最高齢となる。「熱心な民主党支持者でも、４年後に82歳となるバイデンの再選はありえないと思っている」（米バーモント州在住、民主党支持者）と話す通り、多くがバイデンを一期限りの大統領とみる。実際、バイデンは集会で死去した長男と、孫娘の名前を取り違えたりするなど、遊説中の記憶違いや間違いの多さが目立ち、初期の認知症を疑う声も上がっている。

　大統領選での当選確実となった７日夜行われた勝利演説集会で、白いスーツに身を包んだハリスはバイデンに先立って登壇した。「私は副大統領として最初の女性になるが、私が最後ではありません。今夜、これを見つめているすべての小さな女の子が、この国は可能性のある国だとわかったからです」と語りかけた。この日の真の主役は次期大統領のバイデンでなく、副大統領になるハリスだった。

　冒頭に触れた映画の原題「VICE」はバイス・プレジデント（VICE-President／副大統領）を意味するが、単独の「VICE」では悪徳、不道徳、堕落を意味する。チェイニーは「史上最強の大統領」と評される一方で、時に大統領の権威もないがしろにするような振舞るまいから「史上最悪の“悪徳”副大統領」とも呼ばれた。

　ハリスは勝利演説で、「ジョー（・バイデン）がオバマに対してそうであったように、私も忠実かつ正直で、覚悟をもって副大統領職に臨みます」とも述べた。そうあってほしいと思う。であるならば、副大統領を意味するバイス・プレジデント（VICE-President）の「VICE」が別の意味で独り歩きすることもないだろう。