明石家さんま「裏なんか探したら大変やろ」 “あざとさ”をポジティブに肯定していくテレビの変化
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テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(11月8~14日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
明石家さんま「表面でええねやんか。裏なんか探したら大変やろ」
バラエティ番組の定番トークに、人の言動の裏を暴く、というのがある。特に対象になりやすいのは女性だろう。たとえば、「合コン時の女性の何気ない行動には男性の気を引くこんな意図がある」「自分の彼氏のハイスペックぶりを密かにアピールしてくる女性がいた」といったトークを、女性タレントや女性芸人などが繰り広げる。批判の対象に女性アナウンサーが置かれることも少なくない。女性同士の“口撃”に男性MCタジタジ、みたいな構図もよくある気がする。
もちろん、“裏側”暴露がエンタメになっているのはテレビだけではない。ネット上でも「マウンティング」や「匂わせ」といったワードで女性の言動がしばしば槍玉に挙げられている。別に現代的な現象でも日本的な現象でもなくて、昔からどこでも似たようなことはあるのだろう。古今東西、噂話はみんな大好きということなのかもしれない。かくいうこの記事も、「テレビでこんなこと言ってましたよ」みたいな噂話の伝播という面があるはず。
話をテレビに戻すと、先週だけ見ても、たとえば11日の『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)のテーマのひとつが「マウンティング女子」だった。「あなたの周りにも潜んでいるかもしれない、恐ろしいマウンティング女子。今夜、その全貌が明らかに」というナレーションで始まったこの日の放送。評論家の解説や芸能人の体験談により、「恐ろしいマウンティング女子の全貌」が明らかにされていく。
あるいは、10日の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)でも、「才色兼備インテリ美女 VS 成り上がりガツガツ女子SP」と題し、「なんかムカつく女の言動」などをテーマとしたトークが女性を集めて繰り広げられていた。ある出演者はこう話す。男性の前で「私、全然女子っぽくないんだよね」とアピールする女性がいた。でも、そうやって“サバサバ女子”を喧伝する人に限って、裏で人の悪口を言うなど「女子の嫌な部分」を持っている。でも、男性はその女性の二面性に気づかない――。こういうテーマになったときには必ず出てくるような定型的な語りだ。
が、そんなトークに明石家さんまが口を挟む。さんまいわく、女性の二面性は「見ない」「見たらアカンやないか」。そしてこう続けた。
「表面でええねやんか。みんな裏あって、裏なんか探したら大変やろ」
大なり小なり人には裏があるのだから、そこを探し始めたらきりがない、表面だけでいい、ということだろうか。さんまの表面至上主義。『ホンマでっか』といい『御殿』といい、女性の裏側を暴く系の番組の中心にはしばしばさんまがいるのだけれど、「表面でええねやんか」に似た発言を最も繰り返してきたのも、さんまだったように思う。
そんなさんまは、漫才師の中川家が密着されていた13日の『アナザースカイⅡ』(日本テレビ系)にもVTR出演。中川家の人柄や番組裏での秘話などについてはまったく語らず、ひたすら2人に「ネジ工場のイワモトさん」や「新世界の歯の抜けたおっさん」、「食事中に回覧板が回ってきた奥さん」といった定番のモノマネを振っていた。「明石家定食」のテイクアウト。そんなさんまについて、中川家の兄、剛は語る。
「やっぱり見えないですね。杉本高文を見せない人ですね」
さんまは「表面でええねやんか」と言った。けれどそもそもさんま自体が、私たちに表面しか見せない。
なお、さんまの「表面」発言を聞いた女性たちは、口々と「そっか」と納得していた。それもなんだかなとは思う。年長男性の発言ほど傾聴されやすいみたいな構図でもあるけれど、なにより、さんま的にはこのトークも“正論”で句点を打って終わってほしくはないのではないか。ツッコミを接続詞に挟み、“面白い”トークに転がしていってほしいのではないか。――と、ついつい裏を読みたくなってしまうのが人の常。
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