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日本産BLドラマ『チェリまほ』がアジアで人気沸騰! 中国オタク文化とラブストーリーの現在地

日本産BLドラマ『チェリまほ』がアジアで人気沸騰! 中国オタク文化とラブストーリーの現在地の画像1
『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』公式サイトより

※本稿中では便宜上、男性同士の恋愛を描いたドラマを「BLドラマ」と表記する。

 今年は新型コロナの影響がテレビドラマ界にも及んでおり、打撃が少なくなかったが、7月スタートの『半沢直樹』(TBS)が30%を超える視聴率を獲得し、コロナ禍の中にあって賑やかな話題を提供した。現在は秋クールのドラマが放送中だが、『半沢』ほどの話題作はない印象だ。しかし、それは“日本では”の話。

 実は国を超えて中国で密かに話題を集めている日本製ドラマがあるのだ。それがテレビ東京の「木ドラ25」枠(木曜深夜1時~)で放送中の『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(以下、『チェリまほ』)だ。

 豊田悠氏による同名マンガを原作にした同作は、童貞のまま30歳を迎えたことで、“触れた人の心が読める”という魔法を手に入れたサラリーマン・安達清(演:赤楚衛二)と、同僚の仕事ができるイケメン・黒沢優一(演:町田啓太)によるラブコメディ。いわゆる、BL(ボーイズラブ)作品だ。

 BL作品、つまり男性同士の恋愛模様を描いたドラマといえば、日本では『おっさんずラブ』(テレビ朝日)や、『きのう何食べた?』(テレビ東京)など意欲的な作品が生まれ話題になることも増えてきているが、ところ変わって中国やタイでもBLドラマに熱視線が注がれている。

 現在はタイのBLドラマ『2gether』がアジアを中心に大ブームを起こしており、日本でもファンが増加。ウェブメディアや雑誌でも特集が組まれ、11月19日には女性誌「anan」編集部が「anan特別編集 『2gether』のすべて。」(マガジンハウス)というムック本を出版するに至ったほどだ。

 アジアのさまざまな国をまたいで起こっているBLドラマブームだが、そんな中で注目を集めているのが冒頭に挙げた『チェリまほ』だ。日本での反響はもちろんのこと、中国でも熱い支持を集めているということで、今回は『中華オタク用語辞典』(文学通信)の著者でもあるはちこ氏に、『チェリまほ』の反響について聞いてみた。

***

──『チェリまほ』が中国のいわゆる“オタク層”の間で話題だと聞きました。実際にどのような反響があるのでしょうか?

はちこ氏(以下略) 大前提として、『チェリまほ』の公式放送は中国ではありません。なので動画サイトにファンが字幕をつけ無断でアップしたものや、ドラマのキャプチャー画像などしか材料としては与えられていないはずなのですが、それでもなかなかの反響があるようです。中国版のツイッターともいえるWeiboではタイトル名で検索したところ、すでに10万件近い投稿がありました。

 また、「Douban」という映画・テレビ・小説などのエンターテインメント作品に特化した口コミサイトでは9.2という高い点数がつけられています。このサイトは辛口コメントが多いサイトとして知られており、9点以上をつけられた作品は「神作」認定されます。ちなみに『おっさんずラブ』は8.2点、『きのう何食べた?』は8.8点がつけられているので、やはり中国ファンは『チェリまほ』を特別に高評価している。

 原作マンガは現在、中国の動画サイト「Bilibili動画」のマンガサービス「Bilibiliマンガ」で公式連載されるようになりました。現在は6位までランクアップしていて、この人気が順調に継続すればいつかドラマも正式放送が決まるかもしれませんね。

日本産BLドラマ『チェリまほ』がアジアで人気沸騰! 中国オタク文化とラブストーリーの現在地の画像2
「Bilibiliマンガ」で配信中の原作マンガ

──WeiboなどSNSでは具体的にどんな感想があがっているんですか?

「とにかく主人公2人がかわいい!」「激甘で最高」「ニヤニヤしてしまう」という、いわゆる「萌える!」的な感想が圧倒的です。また、過激なラブシーンがなくてもドキドキできる点や、純情な恋模様が逆に新鮮だという感想も見ました。赤楚衛二さん演じる安達については、「小狗」「小鹿」という愛称で呼ぶファンもいるみたいです。これは「子犬/子鹿」って意味ですね。あとは「软萌可爱奶奶的=ゆるふわカワイイ、幼い」みたいな感じで褒め称える声も。

──めちゃくちゃ愛でられてますね! 町田啓太さんが演じる黒沢にも愛称がありますか?

 こちらはもっと豊富です。「绝世温柔男=絶世の優男」とか(笑)。あと「护妻狂魔」なんて言われ方もしてますね。これは、尋常じゃないほど妻(相手)をかばうという意味で、「狂魔」は程度を表す名詞で、“魔に魅入られるほど”みたいな意味です。「妻」という字は、BLでも男女のカップリングでもよく使用されていて、人気の高い属性のひとつといえますね。「护妻狂魔」は日本のBL用語でいうと、「溺愛」「執着」のニュアンスに近いかもしれません。

──はちこさんから見て、『チェリまほ』が中国の人にウケている理由はなんだと思いますか?

 そもそも中国ではここ最近BLドラマへの需要が高まっています。そうした中で、『チェリまほ』はキャスティングも脚本も秀逸だったので、人気が出るのは自然なことのように思えました。主演の2人がイケメンなのはもちろんのこと、自然体な演技も魅力的。安達を演じる赤楚さんは、『仮面ライダー』シリーズに出演した経歴があり(『仮面ライダービルド』2017年)、もともと中国のオタクの中で一定の人気がある方でした。

──劇団EXILEの町田啓太さんは中国では無名でしたが、この作品で一気にファンが増えたと聞きました。10月には中国のウェブ上での日本のスター人気ランキングトップ10に名前を連ねるようになったとか。

 役者の魅力が作品を牽引しているのでしょうね。そして「モテるのに一途で優しい攻め×平凡な受け」という構図はBLのみならず恋愛ドラマとしても王道の設定なんですが、だからこそ万人ウケするんです。『おっさんずラブ』はちょっとコメディのテイストも強いですが、「笑い」というのは国によってもツボが違ったりします。でもストレートなラブストーリーは国籍関係なく受け入れられやすいのかなとも思います。ラブシーンも少なく、安達という30歳童貞の男性が成長していく人間ドラマとしても見られるので、BLに興味がない人にも刺さりやすいと感じました。

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中国最大の検索エンジン会社「百度」による人気調査。日本の男性有名人ランキングでは木村拓哉をおさえて町田啓太が2位に。

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