『この恋あたためますか』森七菜には力不足か? 急騰した「恋愛感情」に視聴者が置いてけぼり
#中村倫也 #森七菜 #この恋あたためますか #火曜ドラマ
「え、そんなに好きだった?」
これが、11月10日に放送された森七菜主演『この恋あたためますか』(TBSテレビ系)の第4話を見た率直な感想だ。世帯平均視聴率は8.3%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)で、第3話からほぼ据え置きとなった。
第3話のラストで、浅羽(中村倫也)が落ち込む北川(石橋静河)をそっと抱きしめているとこをに見てしまった樹木(森七菜)。声をかけることができず、モヤモヤとした気持ちを抱えていた。そんな中、シュークリームに続く新しいプロジェクトが立ち上がる。台風で痛んだリンゴを使うという難題に、北川と新谷(仲野太賀)とともに開発に取りかかるが、浅羽と北川のことが気になる樹木は、気まずさを隠しきれずプロジェクトもうまくいかない。
一方、新谷は徐々に樹木への思いを募らせていた。スイーツがおいしいと有名なレストランの予約を取り付けた新谷は、意気揚々と樹木を誘うが、うまくかわされてしまう。やけになった新谷は、北川と浅羽の微妙な関係を取りもとうと、予約を浅羽に譲り「(北川に)ちゃんと気持ち伝えろ」と背中を押す。だが、新谷の意図が分からなかった浅羽が誘ったのは、北川ではなく樹木だった。
4人の関係が絡まっていくように、新プロジェクトも迷走していく。試作品にダメ出しを受けた樹木たちのムードは険悪になり、新谷はその勢いで、浅羽と北川がかつて結婚を約束した恋人同士だったことを樹木に告げる。その2人が再び巡り合ったことを「運命だよ」という新谷に、樹木はショックを受けて職場を飛び出してしまうのだった。
ここで、冒頭の感想に戻る。このあと、樹木が泣き崩れながら、携帯に保存していた新作発表会での浅羽とのツーショット写真を削除するというシーンは第4話の見どころのひとつでもあったのだが、正直、樹木の気持ちにはついていけなかった。SNSには、「そもそも樹木ってそんなに社長が好きだったのか」という感想も。浅羽はコンビニのアルバイトとしてくすぶっていた樹木を評価し、いまの場所へ導いてくれたヒーローだ。ただ、そんな浅羽に対して抱いたものが、感謝の気持ちだけでなく、恋愛感情だったというのが分かりずらかった。さらに、写真を削除して恋を諦めるという展開もベタだ。「削除しても復元できる」という冷静なツッコミも。恋愛ドラマなので、樹木が浅羽を好きになることはわかっているとはいえ、強引な恋愛モードに付き合わされた印象だ。
脚本、演出、演技力、足りなかったのは何だろうか。一概に言い切ることはできないが、演技力に定評のある森なので、浅羽を本気で好きになるまでの揺れ動く心の機微をもう少し表現してほしかったという残念な気持ちがある。自分の感情をストレートに表現する樹木という役柄だからこそ、ちょっとした表情やしぐさでそれができたのではないかと思ってしまう。破れた恋に泣く樹木の表情は切なく、感情移入できると思えたぶん、そこに至るまでのプロセスの雑さが悔やまれた。
樹木は浅羽への思いを振り切り、開発チームもそれぞれ気を取り直し、無事にスイーツは完成。新作発表会のために訪れた山梨で、樹木が浅羽と北川の仲を、北川が新谷と樹木の仲を「お似合いだ」と表現するシーンは、四角関係の切なさにあふれた第4話の名シーンだったように思う。
ラストでは、浅羽のビジネス上の思惑が匂わされる一方で、思いを抑えられなくなった新谷は樹木に不意打ちのキスをする。「え?」と戸惑う樹木の、あまりの鈍感さに最後でも「うーん」と唸ってしまったが、主人公がようやく恋心を自覚したということでよしとしよう。
■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/
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