『ドラゴンボール』は『ベスト・キッド』をパクった?あれから30年後を描いた『コブラ会』が大ヒット!
#映画 #ドラマ #Netflix #VOD #プライムビデオ #産業医と映画Pによる配信作品批評「ネフリんはほりん」
サブカル好き産業医の大室正志とB級映画プロデューサーである伊丹タンが、毎回ひとつのVOD作品を選んで、それぞれの立場から根掘り葉掘り作品を掘り尽くす本連載。
今回議題に上がったのは、かつて全米に空手ブームを巻き起こした84年製作の大ヒット映画『ベスト・キッド』の約30年後が舞台の、ドラマシリーズ『コブラ会』。
すでにシーズン2まで放映が終わっている本作は、今年8月28日、配信プラットフォームをYouTube PremiumからNetflixへ移行すると、初週にアメリカではNetflixのランキングがトップになるなど大ヒット。なぜここまで話題になっているのか、アラフォーのふたりが“あの頃”を思い出しながら分析する!
『ベスト・キッド』がジャンプ的展開をつくった⁉
――今回は『コブラ会』がテーマですが、そのオリジナルシリーズの『ベスト・キッド』をおふたりはリアルタイムで見ていましたか?
大室 アラフォー世代の我々にとっては、“俺たちのベスト・キッド”って感じだよね。
伊丹 当時は『金曜ロードショー』(日本テレビ系)や『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系)とか、テレビ放送で映画を見る文化が全盛期。だから僕ら世代はほとんどの人が見てるでしょ。日本でのテレビ初放映は……88年か。たぶん僕もそれで初めて見たんだと思う。小学生の間でめちゃくちゃはやって、有名なシーンの「ワックスかける、ワックスとる」ってトレーニング(※師匠であるミヤギ[宮城成義]が、弟子のダニエル・ラルーソーにワックスがけを指導するシーン)は、掃除の時間みんなでマネしたな~。
――ストーリーはいじめられっ子の主人公・ダニエルが日本人の空手の達人と出会って練習して強くなり、最終的にいじめっ子に勝つという王道モノ。
伊丹 ある意味で、ジャンプ的展開だね。
大室 というか、「週刊少年ジャンプ」(集英社)が『ベスト・キッド』に影響されたように思う。だって、『ベスト・キッド』以前のジャンプの人気マンガは『Dr.スランプ』(80年連載開始)とかで、今で言うジャンプ的展開はなかった。影響を如実に感じるのは『ベスト・キッド』の直後に連載された『ドラゴンボール』(84年連載開始)の修行シーン。悟空とクリリンが亀仙人のもとで、甲羅の重りを付けたまま牛乳配達とかさせられて、いつの間にかものすごいジャンプ力になってるってやつ。これまんま「ワックスかける……」って日常生活的反復運動をしているうちにいつの間にか強くなってる『ベスト・キッド』のトレーニングでしょ。
伊丹 ああ、そんなシーンあったね(笑)。
大室 だから『ベスト・キッド』はあの頃の映画のひとつというよりは、僕らの心にストーリーのひな型を作った特別な作品ともいえるよ。
――当時はそういう作品は多かったんですか?
大室 そうですね。『北斗の拳』(83年連載開始)も『マッドマックス』(79年公開)の世界観そのままだったりするし、当時のジャンプは大ヒット映画のブリコラージュ的作品を連載するって編集方針があったんじゃないかって勝手に推測してる。
伊丹 確かに80年代のアメリカ映画に影響されたクリエイターはたくさんいた。『天空の城ラピュタ』(86年)のドーラ一家も『グーニーズ』(85年)のフラッテリー一家っぽい。あの宮崎駿ですらこんな節操のない引用をするくらいだから、その影響力の強さがわかる。
大室 そして時を隔てた2000年代以降、今度はジャンプマンガがハリウッド映画に影響を与えてるんだから感慨深いね。
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