バイデン勝利宣言にトランプ徹底抗戦! “米のジャイアン”秘策は黒人の権利を奪った「1876年の大統領選」
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禁じ手の裏取引で1876年の大統領選を制したヘイズ 犠牲になった黒人
民主党候補のニューヨーク州知事サミュエル・ティルデンと、共和党候補のオハイオ州知事ラザフォード・B・ヘイズの二人が争った1876年の大統領選も、今回同様の大接戦だった。
共和党が上院を支配し、民主党が下院を支配している構図は現状と同じで、両候補は全米の選挙人369人の過半数185人以上を争った。
ここで困ったことが起きた。
民主党のティルデンは一般投票で勝利し、選挙人の獲得も184人と過半数185人にあと一票と迫った。共和党のヘイズが獲得した選挙人は、この時点で165人、ヘイズ陣営はここで一計を講じた。まだ集計されていない南部3州ルイジアナ州、フロリダ州、サウスカロライナ州で、投票に不正があったと主張したのだ。
しかし、民主党も譲らず、3州での勝利を主張したから事態は収拾がつかなくなった。3州の選挙人の合計は19人、これに選挙人の資格が問題視された西部オレゴン州の選挙人1人を加えた選挙人20人が争点となった。この20人を獲得すれば、ヘイズは選挙人で過半数を制し、次期大統領となることができる。ヘイズ陣営はあらゆる禁じ手を仕掛けた。
当時の南部は1865年に終了した南北戦争の戦後処理、リコンストラクション(再建)期にあり、南部連盟についた南部諸州には北軍だった連邦軍が駐屯していた。それゆえ、問題ありと票が集計されなかった南部3州もエイブラハム・リンカーン大統領の共和党政権だった。でも、それは連邦軍が駐屯し、監視の目を光らせ、奴隷制から解放された黒人にも投票させて初めて維持できる極めて脆いものだった。
ヘイズは白人が主導し、南部では強い影響力があった南部民主党保守派(サザン・デモクラッツ)に裏取引を持ちかけ、連邦軍を南部諸州から撤収させることを条件に、3州に自身の勝利を認めさせたという。165人だったヘイズの選挙人はこの南部3州の19人と、オレゴンの選挙人1人の計20人が上積みされたので過半数185人に達し、ヘイズは晴れて大統領となった。
サザン・デモクラッツはヘイズの当選を受け入れると同時に、黒人の公民権を尊重することにも合意したとされるが、この約束は全く守られず、南部全域で黒人たちは徐々に権利を奪われ、最後は選挙権を奪われただけでなく、人種差別、脅迫、リンチの対象となっていく。
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