強盗犯を愛してしまう人質の奇妙な心理とは? 実録犯罪ドラマ『ストックホルム・ケース』
#映画 #ハリウッド
誘拐事件や監禁事件において、被害者が犯人側に対して共感や好意を覚えることが少なからずある。「ストックホルム症候群」と呼ばれるものだ。カナダ・スウェーデン合作映画『ストックホルム・ケース』(原題『STOCKHOLM』)は、その語源となった銀行強盗事件の顛末を描いたノンフィクションドラマとなっている。実録犯罪ものでありながら、まるでコメディのようなおかしみがある。
1973年、スウェーデンの首都ストックホルムで事件は起きた。社会からのはみ出し者・ラース(イーサン・ホーク)は、“自由の国”米国に逃れるためにサブマシンガンを手に銀行を襲撃する。女性行員のビアンカ(ノオミ・ラパス)らを人質にしたラースは、刑務所に収容されているグンナー(マーク・ストロング)の釈放、USドル100万ドル、スティーブ・マックイーンが映画『ゲッタウェイ』(72)で乗っていたマスタングを逃走車として用意せよと要求する。スウェーデンで初めて起きた人質事件に、警察も政府も驚きを隠せない。
グンナーはすぐに釈放され、ラースと合流。2人は古くからの仲間だった。だが、100万ドルと逃走車はなかなか用意されない。犯人側の要求にすべて応じていては、政府や警察側の威信にかかわるからだ。警察が人命救助を第一に考えていないことが分かり、人質たちは警察に不信感を感じるようになっていく。
ビアンカは、ラースが数年前に新聞に載っていたことを覚えていた。ラースは以前にも老夫婦宅に押し入ったが、心臓発作を起こした夫を妻に頼まれて救ったことが記事には書かれていた。ラースが根っからの悪人ではないことを、ビアンカは見抜いていた。
お人好しで、悪人にはなりきれないラース、夫と子どもに恵まれて平和な家庭を築いているものの、心のどこかで刺激を欲しているビアンカ。2人は銀行強盗犯と人質という特殊な関係の中で、お互いに惹かれ合うようになっていく。
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