異論!暴論! Kダブシャインが語るトランプ論Part3「ヒップホップ的視点で考察するトランプ」
#インタビュー #アメリカ #トランプ #Kダブシャイン #ブラック・ライヴズ・マター #米大統領選
いち人間としてトランプを支持するだけでなく、ヒップホップというフィルターを通しても共感すべき点が多いと話すKダブシャイン。昨今のブラック・ライヴズ・マターから、そしてラッパーという同業者であるアメリカの著名なアーティストの動きからトランプを考察する。
Kダブ ラッパーで俳優のアイス・キューブが、正確には“トランプ支持”ではないんだけど、共和党の政策に賛同するニュースが出て大騒ぎになったのは知ってるよね? これまでずっとキューブは民主党に投票してきたんだけど、変わらない現状を踏まえ「Contract With Black America(アメリカ黒人との契約書)」という黒人に対する待遇の改善を提案したところ、両党から話を聞かせてくれとアプローチがあり、民主党の「(バイデンが)当選してから続きを話そう」というものに対し、共和党からは「あなたの意見はとても参考になる」と積極的にその場でそれを盛り込むプランを提示してきた。そして、今回の発表もキューブ自ら公開したわけじゃなく、トランプ陣営の人間がツイッターでリークした情報が始まりではあるんだけど、それに対してキューブは特に反論も不満も発表してない。「若干のミスリードは感じたけど、政治の世界はそういうものだから」と冷静にコメントをしていた。しかし、そこでヒップホップコミュニティから「失望した」「落胆した」なんていうキューブ叩きが一斉に始まったんだけど、その後もキューブは「ブラックコミュニティに協力的な姿勢を取るほうを支持する」って改めて表明をした。もちろん、「トランプを支持する」と明言はせずにね。それくらい激しいバックラッシュが起きてるんだ。
その数日後、50セントが別の観点から「バイデン政権になったらニューヨークの税金は高額になる。そんなのやってられない。俺はトランプに投票する」って表明したんだけど、キューブ同様にブラックコミュニティからは「同胞の命より金を取るのか!」って結構なディスを喰らう。でも、50もいつもどおり意に介さず、で。こういう事例からも分かる通り、当初はトランプ政権に反対の意を示していたブラックコミュニティの中からも、キューブや50のような著名な人気アーティストがそれぞれの意見を出し始めてるんだよね。それで、これを機にトランプの「差別主義者」や「白人至上主義者」は、本当に当てはまるのか? っていう再検証すら各地で行われ始めた。それを見てると、日本でも論客だ識者だという有名な面々が、今までの偏った判断材料だけで本当にトランプのことを批評し、それをそのままバイデンの方がいいと判断していることに驚いてしまうよね。
――カニエ・ウェストがトランプを支持する流れとは、また違う空気であることは感じます。
Kダブ カニエは「大統領選に出馬する」って表明してから見え方も変わってきたけど、それ以外にもチャンス・ザ・ラッパーが「トランプがいなくなれば、すべてがよくなるわけじゃない」って言ったり、シカゴ出身のフィメール・ラッパーのノーネームが「民主党に投票を、という考えから脱却したほうがいい」ってツイートしたり(※現在、当該ツイートは削除)。そこには前提としてアメリカの黒人は”盲目的”に民主党を支持してきた伝統があり、「数十年も支持してきたけど、何も改善されてないじゃないか」という疑問が湧いてきて、「民主党は、自分たちと選挙前にした約束を守らない」という意見につながる。共和党にも黒人議員はいるし、むしろ民主党より差別問題に対しては積極的に取り組んできた過去もあって、一部では「共和党こそ正義なんじゃないか」という見方に変わってもきている。昨今イギリスが欧州連合から離脱した、いわゆるブレグジット(Brexit)にかけて、黒人(Black)が民主党から離脱することを意味する「Blexit」という言葉まで生まれ、ひとつのムーブメントにまでなっている。
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