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『この恋あたためますか』中村倫也は佐藤健の二番煎じ? 飽きない“王道”をつくれるか

この恋あたためますか』公式サイトより

 頭の中を「王道」という言葉が、よぎる。毎週火曜22時に放映中の『この恋あたためますか』(TBSテレビ系)を見ていての感想だ。いま注目の若手女優・森七菜主演で、相手役には演技力も高いイケメン俳優・中村倫也を据えた今秋話題のドラマだが、少し「ベタだな」とも思ってしまうストーリー展開と演出なのだ。

 ここ数年、女性をターゲットにした恋愛モノの多いTBSの火曜ドラマ枠。王道の恋愛ドラマという意味では、今年1月から放映されていた『恋はつづくよどこまでも』が記憶に新しい。『恋あた』は、『恋つづ』と印象がかぶる部分もある。

 まず、主演が話題の若手女優・上白石萌音であり、森とポジションが似ていること。さらに、相手役はイケメン俳優・佐藤健であったこと。『恋つづ』は病院が舞台の恋愛ストーリーだったのだが、佐藤演じていた医師・天堂浬は仕事の腕は完璧ながらも、そのストイックさゆえに周囲からは「魔王」と恐れられているという孤高のキャラクターだ。対して、上白石が演じたナースの七瀬は、仕事も恋愛もつねに真っ直ぐ、純粋な役どころ。少しツンとした年上男と、天真爛漫な年下女という構図がまったく同じ上に、ツンデレ男がなんだかんだ主人公の女を近くで支えているというのも同じなのである。

 さらに、『恋あた』をベタだと思う理由に、ザ・少女漫画と言っても過言ではないようなシチュエーションがふんだんに盛り込まれている点がある。例えば、第1話にあった浅羽(中村倫也)と樹木(森七菜)が相合傘のシーン。ドライな物言いの浅羽だが、樹木が濡れないようにと傘を寄せてやるその肩は雨に濡れてびしょびしょだ。さらに、樹木とともにスイーツ開発に奮闘する新谷(仲野太賀)が、樹木を励ます際にした思わせぶりな壁ドンも、第2話で疲れて寝てしまった樹木にそっと上着をかける浅羽にも、SNSは大いに沸いていた。世の中には“萌えシチュエーション”というのが確かに存在して、明らかに狙っていたとしても、それを本当のイケメンにやられたら、視聴者は悲鳴を上げるしかないのである。

 ただ、王道というのは、大勢に好まれるから王道なのだ。一方で、少しでもさじ加減を間違えれば、二番煎じと言われてしまう可能性もはらんでいるところが難しい。そこがプロの腕の見せどころだが、今回はどうなるだろうか。

 また、『恋あた』の主人公・樹木の役柄は、幼いと言えば聞こえはいいが、根は純粋なもののガラの悪さが目につくところがある。相手役と正反対なキャラクターというのも王道だが、ときにふてぶてしいほどの態度が、『恋つづ』に増して両者の違いを際立たせている。まったく違う二人の距離が、徐々に近づいていくおもしろみはあるが、すでに初回から視聴者の一部で「生意気」と反感を買う声も聞こえている。樹木は若く、これから成長する年齢なのだろうが、これがあまり長引くようなら視聴者は離れていってしまうかもしれない。イケメン俳優による萌えシチュエーションや、胸キュンの王道ストーリーは、一時的には心を掴まれるが、長く愛されるドラマになるにはそれだけでは不十分なのだ。

 王道を成功させた『恋つづ』は、初回の世帯平均視聴率は9.9%だったものの、最終回は15.4%を記録するヒット作となった。『恋あた』も同じように、ストーリーや登場人物の魅力で徐々にファンを増やしていくことができるか、引き続き注目して見ていきたいと思う。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2020/11/03 08:31
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