自民党保守派はトランプ再選を望んでいる−−靖国神社参拝で安倍政権と対立したバイデン大統領誕生で予想されるやっかい事
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11月3日の米大統領選の結果はふたを開けるまで分からない。ただここに来て、ジョー・バイデン前副大統領がやや優勢になってきたようだ。
ドナルド・トランプ大統領が選挙戦の敗北を認めず、4200万人以上が票を投じたとされる郵便投票の不正を訴える訴訟を各地で起こし、熱狂的トランプ支持者の一部が過激な行動に出ることは予想されるので、選挙の最終結果が確定するには多少の時間はかかるかもしれない。それでも順調に行けば来年1月20日にはバイデン大統領が誕生しそうな情勢だ。
そのバイデン大統領誕生の可能性が増すにつれ、自民党の保守派の議員たちが苛立ちを募らせている。彼らの本音は“トランプ再選”だ。
安倍晋三首相に近いシンクタンクの幹部は「トランプは、日本政府に在日米軍の駐留経費の更なる負担増を要求しても思想的なところには踏み込んでこない。バイデンは、自らの強い信条を持ち合わせていない分、民主党のリベラル、急進派に簡単に影響されるので、今後、日本に色々、ものを言ってくる可能性がある。2013年12月のようなゴタゴタはご免蒙りたい」と吐き捨てるように話した。
2013年12月の悪夢 安倍首相に靖国参拝を自制するよう要求したバイデン
安倍晋三首相は第二次安倍内閣時の2013年12月26日、靖国神社に参拝した。在日米国大使館はその日のうちに、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」とする声明文を発表した。この声明文は今も在日米大使館のホームページに保存されている。
当時、在日米大使館に勤務していた元外交官によると、この同盟国を厳しく批判する声明文の作成を主導したのが、当時副大統領だったバイデンだった。声明文の原案には「失望」という表現はなかった。ホワイトハウスと米国務省が声明文の内容を調整する過程で、バイデンが「失望」とする表現を盛り込むよう強く求めてきたという。
この安倍総理の靖国参拝に先立つ12月12日、バイデンは安倍首相と電話会談を行い、靖国参拝を見送るよう求めたという。詳細を報じた2014年1月29日付の共同通信によると、バイデン氏は約1時間行われた電話会談で「行くべきでない」と繰り返して自制を求めたという。
電話会談でバイデンは同月6日、訪問したソウルで韓国の朴槿恵大統領と会談した際に、朴に対日関係改善に全力を尽くすよう求めたことを安倍首相に明らかにした上で、日韓関係の悪化に繋がる靖国参拝は米国の利益につながらないからと、靖国参拝見送りを強く求めたという。これに対し、安倍首相は「行く行かないかは、自分で判断する」と強調したので、最終的にはバイデンも「それなら首相自身の判断に委ねる」と引き下がった。
話はそこで済むはずだった。しかし、面子を潰されたバイデンは個人の伝達でなく、米大使館を通じた米国政府の公式見解として、安倍首相の靖国参拝を非難した。
内政干渉とも言えなくもないバイデンが裏で糸を引いた米政府の意趣返しは、流石に安倍首相を取り巻く保守派の議員たちの怒りを買った。当時、首相補佐官だった衛藤晟一参議院議員は動画サイトYou Tubeに、「むしろ、我々が失望だ。米国は中国にものが言えないようになっている。中国への言い訳として、“失望”と言ったに過ぎない」と投稿し、米政府を強く批判した。
自民党の関係者は「バイデンは大統領になれば、間違いなく中国との関係に重きをおく。中国、韓国、そして、その後にくるのが同盟国である日本だ」と、今からバイデン大統領誕生後に予想される日米関係の暗雲に懸念を示す。
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