松本人志が時代と共にアップデートした理由 プレイヤーから引いたことが大きな転機か
#お笑い #松本人志 #吉本興業 #ダウンタウン #芸人
10月24日にフジテレビ系で放送されたスペシャル番組『まっちゃんねる』。松本人志がホスト役となり、実験的なお笑い企画を放送するオムニバス形式の番組だ。
「放送前から業界内でも話題になっていました。特に女性タレントが笑わせあいをする『女子メンタル』は、松本がAmazon Primeで2016年から続けている企画『ドキュメンタル』がもとになっていましたが、地上波用に見事に落とし込めていましたよね。不用意に下ネタや“容姿イジり”に向かうこともなく、“多様性を認める笑い”が体現できていた点についても、さすがだったと高評価です」(テレビ局関係者)
ベテラン大物芸人たちの笑いが、いつまでたっても弱いものをイジメるようなものばかりで、アップデートできていないと批判されることが多い昨今。そんな中で、松本人志はそのスタイルをうまく時代にフィットさせてきたと言われている。
「松本さんは、かつての尖っていた時代からすると想像できないくらい丸くなりました。それこそCMで媚びたような演技もできるようになったし、番組でも自分の笑いより、共演者をおいしく見せることを優先するようになっていますよね」(同)
では、何が松本を丸くさせたのだろうか。お笑い事務所関係者はこう話す。
「ひとつは、賞レースの審査員をやるようになって、後輩たちのお笑いセンスをしっかり認めることができるようになったのが大きいんじゃないでしょうか。そして、『ドキュメンタル』や『IPPONグランプリ』『水曜日のダウンタウン』もそうですが、自分がプレイヤーになるのではなく、後輩芸人たちをプレイヤーにして、松本さんはそれを俯瞰で見るというスタイルの番組が増えている。言ってみれば、笑いの場の第一線から引いているわけで、その結果、自然と周囲の芸人に対するライバル心も薄れていったのでしょう」
また、毎週社会情勢や時事に関するネタを扱う『ワイドナショー』(フジテレビ系)が始まったことも大きい。
「若い頃は“世の中なんて関係ない”というスタイルだった松本さんですが、毎週いろいろなニュースや世間の声に触れることで、自然と今の時代に合う考え方が身についているんじゃないですかね。変に凝り固まっていくわけではなく、どんどん柔軟になっていくのは、タレントの年齢の重ね方としては、理想的だと思います」(同)
たとえば、明石家さんまは、レギュラーラジオ番組『ヤングタウン土曜日』におけるさまざまな発言がニュースとなり、旧世代的な考え方が批判にさらされることも多い。
「松本さんは、現在ラジオのレギュラー番組はありません。つまり、本音をそのまま世間に発信する場がないんですよ。もしラジオ番組をやっていたら、さんまさんのように“古い考え”が露呈して、炎上することも多かったかもしれない。岡村隆史さんの炎上騒動もありましたけど、ラジオだと生放送でマズイことを口にしてしまうような場面も起こりやすいですから」(前出・テレビ局関係者)
プレイヤーから退き、尖った姿を見せなくなった松本に対して、寂しさを抱く関係者もいるだろう。しかし、松本が丸くなったことによるメリットも大きいという。
「お笑い界全体を見れば、松本さんが若手のための場を提供することで、多くの才能が世に出てきやすくなっているという現状があります。なんだかんだでカリスマであることは間違いなく、そのカリスマに認められるという事実は、やはり大きな価値がありますからね。松本さん本人のお笑いセンスはすでに過去のものになりつつあるかもしれませんが、センスある後輩を導く存在としては唯一無二でしょう」(前出・構成作家)
かつての笑いのカリスマは、最高の踏み台となり、お笑い界に貢献し続けるのだ。
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