『この恋あたためますか』がBL漫画と酷似⁉︎ “類似点”を検証！ 出版社の反応は？

　間もなく第2話の放送を控える、森七菜主演の火曜ドラマ『この恋あたためますか』（TBS系）。相手役が、演技力にも定評のある人気のイケメン俳優・中村倫也というのもあって、放送前から注目を集めていたドラマだが、2人は初回放送後もバラエティ番組への出演など番宣に余念がない。

　一方で「オリジナル脚本」というふれこみの『恋あた』だが、3年前に発表されている舞木サチの短編BL漫画『この恋、あたためますか？』（KADOKAWA）に似ているのではないかという指摘が、SNS上で囁かれている。筆者も実際に漫画を読んでみたところ、ドラマとの類似点がいくつか見受けられたので紹介したい。

●一緒にスイーツ開発をする
コンビニの系列会社で商品企画をする主人公・里中は甘いものが苦手だが、スイーツの企画を任される。そんな時に出会ったのが、自社ビル1階に入っている店舗で働く柳瀬。甘いものが得意だという柳瀬に、成り行きでアドバイスをしてもらうことになるのだが、その的確さに次第に信頼感を高めていく。

●片方が次期社長ポジション
ただのコンビニ店員かと思っていた柳瀬の正体は、実は次期社長と目されるされる人物。ドラマとは設定が逆になるが、コンビニ店員を森七菜が演じ、中村倫也がコンビニの社長を演じているため類似性を感じる。

●カギっ子だった過去
第1話で、森七菜演じる井上樹木の「小さい頃、親の迎えが遅くて保育園のすみで泣いていた」という過去が、いまの自分の原動力につながっていると話をしていた。漫画の里中も、カギっ子だった子ども時代の思い出からコンビニの商品開発への道へ。両者とも、“幼いころの親の不在”が現在につながっている。

●バレンタインスイーツを開発する
漫画で里中と柳瀬が挑むのは、バレンタインスイーツの企画。一方、ドラマは、どうやらクリスマスに向けて物語が展開していくようだ。その証拠に、SEKAI NO OWARIが書き下ろした主題歌「silent」もクリスマスソングになっている。ドラマで、クリスマススイーツの開発をするか明言はされていないが、どちらもスイーツが主役になりうるイベントという点でシンクロする。

　もちろん、漫画とドラマの相違点もある。舞木氏の作品は、短編漫画という特性もあり、最初から柳瀬が里中へ好意を寄せていてかなり積極的であるなど、恋愛にストーリーを寄せている。一方で、ドラマはコンビニの舞台裏の仕事をしっかり見せるなど、お仕事ドラマとしての深堀りもされているし、ほとんど2人だけで展開する漫画とは違い、登場人物も格段に多い。そもそも、連続ドラマという長編ストーリーでは、物理的に短編漫画と類似する点のほうが少ないのは当然だろう。そうしたことを考えれば、「ドラマはオリジナル脚本」と謳うのは間違っていないのかもしれない。

　漫画の出版元であるKADOKAWAにも問い合わせてみたが、「お問い合わせの件につきましては、当該書籍とドラマには関連性はなく、他社制作のドラマのため、当窓口ではご案内できる情報がございません。恐れ入りますが、放映局へお問い合わせいただきますようお願い申し上げます」という回答を得た。また、作者の舞木氏のTwitterでも、今のところ、この件については何も言及されていない。

　本当に関連性はないのか、それともやはり漫画に着想を得たものなのか、真相はわからない。しかし、タイトルを含めて、偶然の一致にしては似ている部分が多いなというのが正直な印象だった。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか？』
TBS系／毎週火曜日22時～
出演：森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本：神森万里江、青塚美穂
演出：岡本伸吾、坪井敏雄大内舞子
プロデュース：中井芳彦、黎 景怡
音楽：木村秀彬
主題歌：SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ（ライター）

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ