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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 『この恋あたためますか』石橋静河の注目

異彩を放つ石橋静河、『この恋あたためますか』でポテンシャルの高さを発揮できるか?

この恋あたためますか』公式サイトより

 放送前より初主演の女優・森七菜と、人気俳優・中村倫也への期待感から注目を集めていたドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)が、10月20日にスタートした。森扮する、アイドルの夢に敗れたコンビニのアルバイト店員・井上樹木と、中村扮するコンビニチェーンの社長・浅羽拓実が、ともにスイーツ開発をしていくうちに急接近していく、というラブストーリーだ。

 初回の20日は、趣味でコンビニスイーツ批評をSNSに投稿している樹木と、業界下位のコンビニ「ココエブリィ」の立て直しをするためにやってきた新社長・浅羽の偶然の出会いと、樹木が浅羽にその的確なスイーツ批評を見込まれ商品開発を依頼され、商品を完成させるまでの話が描かれた。

 主役の2人が大きく注目されるなか、異彩を放つある女優の存在が気になっている。女優の石橋静河である。ドラマでは「ココエブリィ」商品部スイーツ課の北川里保を演じている。俳優の仲野大河が演じる新谷誠とともに、主役の2人と絡む四角関係を展開していく役どころだ。

 2015年に女優デビューした石橋は、実は俳優・石橋凌と女優・原田美枝子の次女として生まれた、いわゆる二世女優。4歳の頃からクラシックバレエを習い、15歳からは海外のバレエスクールへ留学、2013年に帰国してからはコンテンポラリーダンサーとして活動をしていた。2015年に舞台『銀河鉄道の夜2015』で女優デビューした後、2017年公開の映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』で初主演、高い評価を受け多くの新人賞を獲得、映像業界にその名を知らしめた。2018年にはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』に出演、ヒロインの幼馴染・萩尾律の妻の役を演じたことでその顔を覚えている人も多いだろう。

 石橋自身パッと目を惹くような派手さがあるわけではないが、彼女の演技には、どこか含みがあると感じる人も多いはず。彼女の演じてきたそれぞれの役が抱えている思いを、その演じる所作や表情で見る人に想像を掻き立てさせる。幼少の頃より触れてきたバレエやコンテンポラリーダンスで磨かれた高い感性や鍛えられた繊細な所作が、彼女の演技を豊かなものにしているのかもしれない。

 彼女がデビュー以来、次々と有名監督からのオファーを獲得しているのは、二世女優としてもてはやされてきたというより、確かな才能を見出され着実にキャリアを積み重ねてきた実力派だからであろう。20日放送の『恋あた』では、出番はあまり多くはなかったものの、これから明かされるであろう過去への興味を引き立たせる一役を担っていた。

 森の演じる樹木は、怒ったり泣いたり、感情がそのままストレートに出る役だった。21歳という年齢設定の割に幼さが際立って見えたヒロインであったが、それに比べ石橋演じる里保はある種の静謐さを感じさせる女性に感じたのは、いかにも石橋らしい演技であったのではないだろうか。次回、新商品の企画を巡り、樹木と里保は対立する。一見対照的なこの2人の女性が、どう関わっていくのだろうか。

 石橋の女優としてのポテンシャルの高さを、どこまでこのドラマで活かすことができるのか。彼女がただの脇役で終わってしまうようでは、このドラマはただ中村の人気にあやかっただけのものになってしまうだろう。逆に、体当たりするような少しうるささを感じてしまう樹木に、里保の含みのある演技が上手くハマり作用すれば、化学反応が起きて層の厚いドラマになるかもしれない。そういった意味でも、次回以降のドラマの展開に期待したい。

■番組情報
火曜ドラマ『この恋あたためますか?』
TBS系/毎週火曜日22時~
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史 ほか
脚本:神森万里江、青塚美穂
演出:岡本伸吾、坪井敏雄大内舞子
プロデュース:中井芳彦、黎 景怡
音楽:木村秀彬
主題歌:SEKAI NO OWARI 「silent」
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koiata_tbs/

早乙女りこ(ライター)

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ

最終更新:2020/10/27 13:00
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