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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > NiziU 快進撃の裏にあった鬼教官動画
放送作家が人気動画を分析「YouTubeには手を出すな」4

NiziUはデビュー前なのになぜこんなに人気? 快進撃の裏にファンを熱狂させる鬼教官の裏動画

必見!鬼教官によるパフォーマンス批評

 さらに、NiziUのYouTube網はまだあります。“裏動画”とも言うべきファン必見のチャンネルがあるのです。それは、オーディション期間中に彼女たちのダンスレッスンを担当していたチョ・セロム(cho serom)先生のチャンネル。

 K-POPの有名アーティストのバックダンサーも務める彼女は、レッスン時はプロとして過酷なトレーニングを課す、いわゆる“鬼教官”。そんな彼女がトレーナーの同僚イ・セラ(lee sera)先生と一緒に、『Nizi Project』の番組を見ながらメンバーのパフォーマンスについて、コメントする動画を投稿したのです。

 鬼教官だけに厳しいコメントを連発するのかと思いきや、二人のリアクションはまるで家族。「がんばれ~!」「私までドキドキする」「ここの表情大好き!」「リハよりうまくできてる!」「なんてかわいいの!」などなど。メンバーの努力の過程を見てきただけに、感慨もひとしおなのでしょう。時には「ダメだ……泣いちゃう!」と感極まる場面も。

 そうかと思えば、ダンサーらしく自分たちも踊りながら大爆笑する動画もあったり……とにかくメンバーへの愛情が溢れ倒しているのです。

 すると、コメント欄も二人のメンバー愛に反応。「裏方がアーティストをオープンに応援する文化すばらしい」「こんな素敵な先生に教えられたらうまくなるのも納得」「NiziUも好きだけど、お二人も好き」etc.。推しメンやグループだけでなく、チームそのものをハコ推しするムードが醸成されています。

 これらの動画は100万再生を超えるものもありますが、間違いなく再生数以上の効果があります。今の時代のエンターテインメントは、裏方の発信にこそ成功の鍵がある。作り手がコンテンツの一番のファンとなり、愛情を伝えることで、ユーザーの心に響く。同じコンテンツを愛する同志となることで作り手とユーザーの垣根が無くなり、熱狂的なコミュニティが形成されるわけです。プロデューサーであるJ.Y.Parkさんの言動が取り上げられがちですが、二人の動画も見事なアシストをしています。

 チョ先生の動画がどこまで戦略的に作ったものかはわかりません。しかし、こういった細かい活動こそが今のファンマーケティングには必要であり、NiziUの快進撃を支えているのです。

谷田彰吾(放送作家)

クロスボーダークリエイター・放送作家 / TVクリエイターギルド 株式会社VVQ代表 ドキュメンタリー番組『プロ野球戦⼒外通告』『バース・デイ』、有吉弘⾏、乃⽊坂46、池上彰などのバラエティ番組を構成。YouTubeでは『上原浩治の雑談魂』などを担当。放送作家だけでなく広告プランナーとしても活動。業界の垣根を超えたクロスボーダークリエイティブがモットー

YouTubeには手を出すな

Twitter:@VVQ_SHOWGO

【VVQ】

たにだしょうご

最終更新:2021/01/02 14:47
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