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日刊サイゾー トップ > 社会  > 新型コロナのワクチン開発はどこまで進んでいる?

新型コロナのワクチン開発はどこまで進んでいる? 続々と研究結果が発表

新型コロナはどれくらい生きながらえる?

 さらに10月12日には豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究チームから日常生活に極めて関連が深い研究結果が発表された。「新型コロナウイルスが携帯電話用ディスプレーで最長28日間感染力を持続できる」との研究結果が、学術誌「ウイルス学」に掲載された。

 研究は室温を20、30、40度に設定して、湿度を50%に保った実験室でステンレス鋼、ガラス、ビニール、紙とポリマー紙幣、綿布の表面に感染患者で観察されたレベルと同様の濃度で新型コロナウイルスの粘液乗せて行われた。

 この結果、室温20度ではステンレス、ガラス、ビニール、紙、ポリマー紙幣でウイルスが生き残ったが、綿布では14日でウイルスを検出できなかった。室温30度ではステンレス鋼、ポリマー紙幣、ガラスで7日、ビニールと綿布では3日で検出できなかった。室温40度では綿布は16時間、ガラス、紙、ポリマーノート、ステンレススチール上では最大24時間、ビニールは48時間で検出できなかった。

 インフルエンザウイルスは室温20度で17日間生き延びるという研究結果に対して、新型コロナウイルスは28日間という感染力を保てること、また、新型コロナウイルスは温度の上昇に伴い感染力が短くなることが明らかになった。

 実験に使われたステンレス鋼、ガラス、ビニール、紙とポリマー紙幣、綿布は銀行のATM、手すり、ドアハンドル、エレベーターボタン、お金など毎日大勢の人々が触れている表面と同じであり、感染防止のための消毒の重要さが再認識された。

 さて、9月15日に奈良県立医科大学が発表した研究結果は、新たな商品開発を予想されるものだ。それは、「柿渋に新型コロナウイルスを不活化させる効果がある」ことが確認されたというもの。

 発表によると、試験管内で新型コロナウイルスと唾液を混ぜて人の口腔内と似た環境を作り、そこに高純度で抽出した柿渋の主成分であるカキタンニンを加え、10分後に感染力のある新型コロナウイルスの量を測定した。その結果、1万分の1以下までウイルスの量が減少した。

 ただし、「不活化させるにはカキタンニンの濃度とウイルスとの接触時間が重要で、カキタンニンを含むサプリメントなどが市販されているが、既製品を食べるだけでは、新型コロナウイルスを減らすことは期待できないため、今後、感染予防に効果のあるアメやラムネなどの食品化を進める」としている。

 新型コロナウイルスがどのような性質を持っているのかは、感染予防を行う上では重要な情報だ。だが、一方ではこうした研究結果に過度に依存することなく、冷静に感染予防に役立てていくことも必要だろう。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2020/10/17 20:00
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