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『チコちゃんに叱られる!』桂由美に“お口チャック”するチコちゃん「先生、ファスナーをお願いします」

桂由美に“お口チャック”をお願いするチコちゃん

 この日最後のテーマは「なんで服を買うと布の切れ端が付いてくるの?」という疑問である。確かに切れ端ってもらうけど、今まで使ったことがないな……。スーツのポケットには切れ端が入ったままだし、ユニクロなんて最初から切れ端はなくて、ボタンだけが付いてきた気がする。

 このテーマは完全にファッションの範疇の問題。だから、桂なら答えがわかってしまうだろう。今回に限り、桂には“お口チャック”をしてもらった。

「先生、ちょっとお口に桂由美デザインのファスナーをお願いします」(チコちゃん)

vというわけで、回答権が巡ってきたのはMCの岡村隆史だ。

岡村 「虫に食べられたときの直し用です。付いてる生地を下から当てて、タタタッってミシンで。ちょっとパッチワークみたいになりますが」
チコ 「ボーっと生きてんじゃねーよ!」

 そもそも、日本で既に完成した既製服を買う文化が生まれたのは戦後になってからだそう。それまでは仕立屋で自分用に生地から仕立てた服を買うか、家庭でシンプルな物を作って着るのが一般的だった。その後、1950年代中頃過ぎから洋服を着るのが当たり前の時代になり、百貨店を中心に既製服が売れるようになっていった。そんな中、より多くの人に服を買ってもらうために百貨店はあるサービスを取り入れる。服に共生地(ともきじ)と呼ばれる布の切れ端を付けたのだ。これは、百貨店がより多くの人に服を買ってもらうために導入したサービスという。当時、服は今よりずっと高価なもので、穴が空いたからといって簡単に捨てられなかったのだ。だから、共生地を使って穴を綺麗に塞いでいたということ……って、それじゃあ岡村の答えって正解なのでは!? まあ、いいか……。

 でも、共生地を縫い付けてもその部分は綺麗にはならない気がする。それこそ、パッチワークみたいになりそうだ。いや、プロの手にかかれば、共生地を使ったある技法で穴を綺麗に消せるらしい。それは「かけつぎ」と呼ばれる技法だ。その正体を探るべく、番組スタッフはかけつぎ一筋50年以上という職人・本城さんの元へ向かった。

 スタッフは袖口にタバコでできた大きな穴が空いたジャケットを本城さんに手渡した。すると、「ああ、全然大丈夫ですよ」と即答する本城さん。そして、かけつぎをした約1時間後には、どこに穴があったか全くわからなくなるほど完璧な仕上がりの袖口が。一体、どうやってあの穴を塞いだのだろうか? この道50年以上の本城流かけつぎ術は以下だ。

直す穴の大きさに合わせて共生地をカット。服の傷よりも少し大きめにカットする。

カットした共生地から横向きの糸を一部外し、縦糸だけを残す。

かけつぎに欠かせないのが、糸の輪を通した針。まずは穴の近くに針を刺し、 輪にした糸を服に通す。

そこに共生地の縦糸だけを残した部分を重ねる。

ここからが職人の腕の見せどころ! 縦糸の2本を針が付いている糸の輪っかに挟み込んで奥へ抜く。

共生地の縦糸2本だけを輪の中に通し そのまま輪を引いて巻き込む。

巻き込んだ部分を引き抜き、共生地の縦糸を服の補修部分に織り込む。

「これの同じことの繰り返しをし続けます。(必要なのは)根気だけ」(本城さん)

 この繊細な作業をひたすら150回以上繰り返すと、ようやく完成! しかし、これでは共生地と服のつなぎ目がまだわかってしまう。ここからが、より熟練の技が光る仕上げ作業だ。

服の裏側の共生地を織り込んだ部分に熱で溶ける専用ののりを入れる。

服を表に返し、共生地と元の服のつなぎ目が目立たないよう、織り込んだ糸を引っ張りなじませていく。

最も自然なつなぎ目になったと見極めた瞬間、アイロンの熱で裏面ののりを溶かし、共生地を固定。

 こうすると、共生地と服のつなぎ目は全くわからなくなる。最後は表面に張り出した余分な糸をカットし、アイロンがけを終えれば出来上がり! たった1時間で穴があった場所が全くわからなくなるのだから、まさに匠の技だ。まるでマジック。というわけで、このテーマの答えは「かけつぐため」だった。

 でもきっと、今は修繕するより新しく買ったほうが安く済んでしまう気がする。ファストファッションの時代だし、わざわざかけつぎしてまで服を長く着る人も少ないだろう。つまり、共生地の使い道がどんどんなくなってきているということ。「穴が開いたら買い替えればいい」と、共生地が付いている意味が忘れ去られる時代になってしまった。口にチャックをしていた桂が、VTR終了後に口を開いた。

桂 「だんだん、ああいう技術は貴重になりますよね。しかし、日本人っていうのはとってもああいうことが上手なんですよね。手先が器用で。その他にも刺繍だとかね、物凄い色々あるんですよね。なくしたくはないって感じ」
チコ 「そう思いながら、中島みゆきの『糸』を聴きたいわね」

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/10/16 20:30
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