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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『麒麟がくる』織田信長マネー政策の変遷

『麒麟がくる』“染谷将太版信長”が大盤振る舞い! しかし、そのしわ寄せ先は……織田信長マネー政策の変遷

織田信長の金策! 寺に取り立て、会合衆にも恩を仇で…

 ドラマで以前出てきた、いわゆる「内裏(だいり、いわゆる御所)」の壊れた壁の修理なども、信長が全面的に担当させられてしまいます。ほどなくして金銭的に余裕がなくなった信長が資金源として頼ったのが寺でした。神仏に冷淡といわれる信長らしいなぁと思いますが、たとえば法隆寺には1000貫文、石山本願寺には5000貫文などと多額の献金を強要しています。

 今井宗久など、堺の「会合衆(えごうしゅう)」たちにも、恩をあだで返すような振る舞いを早速しています。堺の町には2万貫文もの献金を課し、支払わせました。2万貫って、今回出てきた1千貫の20倍ですからね! 現在の貨幣価値で10数億円くらいです。ちなみに堺の前に、信長への献金を拒否した尼崎は、信長に焼き討ちにされています。……などと見ていくと、皆さんがイメージするような「信長=暴君」らしさが顔を出し始めていますね。

 信長は通常の義理人情には縛られず、自分が一番大事にしたいモノや人に一極集中で投資する実に割り切った人物であったように筆者には思われます。それが信長にとっては天皇家であったのは興味深いことですね。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 12:07
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