藤井隆が語る「青春の色合いを変えた」角川映画の真髄と役者
#映画 #藤井隆 #角川春樹
藤井隆は「角川映画この1作」どれを選ぶか?
——角川監督とはいかがでしたか?
藤井 角川春樹さんという方が作られたもの、本や映画や音楽は、私の青年期に大きく影響していると思うんですね。角川さんがいなかったら本当に青春の色合いが変わってるはずなんで、それは思い出とかそういうことじゃなくて、もっと深い所で。好きになるものとか、興味を持ち続けることとか、そういうことの大きな影響を与えてくださった方の一人なんです。小学校の中学年、高学年くらいに、本屋さんに行けば角川文庫のキャンペーンがあって、帯がブワーっと一色に染まってる。小説を買ったのも角川文庫が初めてだったんですよ。あのサイズの小説を自分のものとして所有して、読み進めていくっていう行為を教えてくださったのが角川書店なので、そういう習慣と文化をくださった大きな方に対して、監督っていうだけでは済まない感謝の気持ちがやっぱりありました。
——藤井さんのエンターテインメントの原点みたいな感じでしょうか。
藤井 うーん。角川さんは僕を「本を読む」ということに連れて行ってくださった人だと思っています。学校の先生に「本を読みなさい」と言われるより、もっと自発的に。映画の原作を読むっていう行為のベースを作ってくださった人だと思います。それってすごく大きいことだと思うんですよ。
——そんな人が今目の前にいて、一緒に仕事してるというわけか……。
藤井 自分の中の真面目な部分が「浮ついてる場合じゃない」って、なんとかストップかけてましたけど、でも一方のふざけた自分は大はしゃぎしてる感じです。撮影期間は暑かったので、なんかちょっとこう、うなされてるっていうか、フィーバーっていうんですかね。そんな感じだったのを覚えてます。
——二人の藤井さんが心にいた(笑)。
藤井 いやもっといましたね、担当が。「思い切って写真お願いしたほうがいいんじゃないか」とか、「いやそれは辞めといたほうがいいんじゃないか」とかね。「スチールさんにアピールしてみようか」とか、「今撮って欲しいです」みたいな。「いやそんなことしてる場合じゃない」とかね。なんか本当に……複雑でした。
——何か監督からアドバイスされたことはありますか?
藤井 すごく早口だったので、本読みの時に「早口過ぎる」ということは注意していただいて。うーん……そういう基本的なことが、まずもう出来てなかったのでね……。本当に恥ずかしかったですけど。
——そういう細かなことも監督から指示が出ていたんですね。
藤井 はい、ものすごく丁寧に向き合ってくださいました。間合いとか、見え方、見せ方……そういうところまで細やかにご指導いただけたので、「映画の撮影をしてるんだな」っていう自覚がすごくありました。
——清右衛門の決め台詞「ふんっ!」が劇中でいろいろ変わっていくんですよね。それも監督と作り上げていったんでしょうか?
藤井 はい、本当に事細かにご指導いただけたので、そういう風に言っていただけたら嬉しいです。
——藤井さんの一番好きな角川映画はなんですか?
藤井 うーん、回数観たということで言えば『Wの悲劇』とか。VHSも持ってたり、DVDも持ってたり、あと、日本映画チャンネルでやった時のがハードディスクにも録ってあったりとか(笑)。『メイン・テーマ』、『愛情物語』、『野生の証明』。あとタイトル言いたいのは『湯殿山麓呪い村』、実際に映画館に行って1回しか観てないけど、事細かにシーン全部覚えてるのは『晴れ、ときどき殺人』、渡辺(典子)さんの。主題歌がものすごく好きな『探偵物語』とか。いや、この質問絶対聞かれるとは思ったんですけど、無理ですね(笑)。選べない。
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