ロバート秋山の新番組『秋山とパン』、視聴者も“逃げられない”コント空間
#テレビ朝日 #テレビ日記 #秋山とパン
椎名林檎「よくないなと思いました」
「バラバラ大作戦」と銘打ったテレビ朝日の新たな14番組の中で、タイトルからして異彩を放っていたのが『秋山とパン』だ。事前情報でも、どうやらロバートの秋山竜次がパン屋を訪れるようだということ以外は不明。その全貌は謎に包まれていた。
迎えた7日の初回放送。この日、秋山が訪れたのは東京は港区麻布台にあるおしゃれなパン屋だった。店内に入った秋山は、「この香りですよね、やっぱり」「スイーツも充実してますね」などと、散歩番組のテイストでつつがなくロケを進めていく。
シーンは副店長おすすめのパンの実食へ。秋山は「玉葱コーンフォカッチャ」というネーミングのパンを手にし、語り始める。
「玉葱コーンフォカッチャってなんか、高輪ゲートウェイみたいな。漢字とカタカナの組み合わせ」
秋山はさらに、「高輪ゲートウェイで思い出したんだけど」と続ける。単独ライブに来ていたお客さんとのつながりで、なぜか山手線の新しい駅名を選考する会議に出席することになったという秋山。一般公募ではあまり人気がなかった「高輪ゲートウェイ」という駅名が選ばれることになった背景には、椎名林檎の影響があると主張する。
「地名とカタカナのこのシステム、この組み合わせの開拓者って、椎名林檎さんの完全に『丸の内サディスティック』なんですよ」
この後もひたすら「高川ゲートウェイ=椎名林檎影響説」を吹聴し続ける秋山。いや、ここまではギリギリ「ありえなくはない」主張かもしれない。いや、冷静に考えるとありえないんだけど。が、いつものようにキャラに入っているわけではないフラットな秋山の口調、わかりやすくツッコミが入るわけでもない番組の展開に、「ありえなくはない」というわずかな疑念が頭の片隅に残り続ける。そうこうするうちに、秋山は、新宿コズミックセンター、御殿場アウトレット、高橋メアリージュン、北海道バターも椎名林檎の影響下だと荒唐無稽なところまで話を広げ始める。
この間、秋山の右手にはひと口も食べられていないパンがずっと掴まれている。パンの番組でひたすら高輪ゲートウェイ。最初は愛想笑いをしていた副店長も、徐々にいぶかしげな顔になってくる。かといって、副店長はその場を立ち去ることができるわけもなく――。なるほど、コント作りにおける帰れないシチュエーションの設定とはこういうことかもしれない。
秋山はさらに語る。駅名の選考会議の場で、彼ははっきり進言したという。地名とカタカナの組み合わせは椎名林檎が編み出したものだから、やめておいたほうがいいよ、と。問題になるよ、と。実際、彼は椎名林檎に連絡したという。
で、画面は切り替わる。そこに映ったのは椎名林檎。いや、「椎名林檎」というテロップが画面に出ているから本人かなと思うけれど、おしゃれというか奇抜というかヘンテコなサングラスをかけている女性は、一見誰だかわからない。で、スタッフから「高輪ゲートウェイという名前を聞いたとき、どういうふうに思われました?」と問われた椎名林檎らしき女性は、スタッフの声に被せ気味で断言する。
「よくないなと思いました」
番組のラストでようやく、申し訳程度に「この作品はフィクションです。秋山も椎名さんも『高輪ゲートウェイ駅』に関与してません」というテロップが入る。が、そこに至るまで、本当か嘘か微妙な話から入りながら少しずつ嘘方面に傾いていく。本物の椎名林檎の登場が頭をさらに混乱させる。そんな展開に、副店長だけでなく番組を見る側も、このコントから立ち去ることができなかった。
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