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「政府は“最悪のシナリオ”の想定を怠っていた」報告書の衝撃 日本政府反省なきコロナ対策の裏側

菅首相はコロナ禍で経済重視政策

 だが、これは小池都知事に責任をなすりつける政府の“責任逃れ”だろう。政府は国民を守るために最も重い責任と最高の権限を有しているのだから、その判断において責任を持ち、適切だと考える措置を躊躇うことなく実施すべきだ。

 実際、緊急事態宣言についても同報告書によると、「安倍首相は、一番難しかった決断は緊急事態宣言を出すことだったと述べた」としている。その理由の一つは、「宣言に対しては菅官房長官はじめ政府内では経済への配慮から慎重論が強かった。菅長官は経済、中でも経済弱者への負担が巨大になることを懸念していた」と述べている。

 これを見る限り、安倍首相のリーダーシップが大きな問題となったのと同時に、菅官房長官が“経済重視”の姿勢にあることが伺われる。これは、菅氏が首相になっても同じ姿勢にあると思われる。

 新型コロナでは、政府と政府の新型コロナウイルス感染症諮問委員会との軋轢も取りざたされた。この点について同報告書では「接触機会の8割削減」を取り上げ、「尾身諮問委員会会長は、『数理的な前提をおいて計算するとそうなるという予想を政府に申し上げたら、理解したけれども、8割だけ言うというのは採用できないと、非常にはっきり言われました』と振り返った」と状況を述べている。

 結果的に、「最後は、安倍首相と尾身諮問委員会会長とのトップ同士で話し合い、7割も8割も両方とも残す表現にすることで“交渉”は妥結した」としている。

 また、緊急事態宣言解除の基準を巡っても「専門家会議の『直近2週間の10万人あたりの累積新規感染者数が0.5人未満程度』の数値基準案に対して、安倍首相は『東京都で解除できなくなる』、菅官房長官は『一桁違うのではないか』と難色を示した」としている。

 結局、「最後は『直近2週間』を『直近1 週間』とした上で、『0.5 人未満程度』を満たさない場合であっても、感染経路の不明割合等を加味して判断することで合意した」と述べている。

 これを見ると、感染医学的な助言を政府が捻じ曲げて、緊急事態宣言が解除されたということだろう。本来であれば、政府は専門家会議が行っている助言を明らかにした上で、政府の判断でこのようにする、と説明するべきであり、あたかも専門家会議の助言によって判断したように繕い、責任を専門家会議に転嫁するような真似をするべきではなかった。

 同報告書では専門家会議について、「対策・政策の発信までも専門家が担う状態が生まれた。ある意味、彼らは『官邸に利用された』(厚労省関係者)のだが、彼らの役割と影響力が高まると、今度は“ありがた迷惑”(官邸スタッフ)な存在とみられるようにもなった」と指摘している。

 これが本当であれば、政府は助言を求めた専門家会議を政治的に利用し、その上、最後は“邪魔者扱い”したことになる。
 新型コロナ対策では最も批判が集まったのが「アベノマスク」だ。その経緯について同報告書では、「4月1日に安倍首相が発表した1世帯当たり2枚の布マスク全戸配布、いわゆる“アベノマスク”は、厚生労働省や経済産業省との十分な事前調整なしに首相周辺主導で決定された政策であった」としている。そして、「配布の遅れもあり、官邸スタッフは『総理室の一部が突っ走った、あれは失敗だった』と振り返った」と記載している。

 結局、アベノマスクは誰の発案だったのか、そして、業者の選定はどのように行われ、巨額の予算はどこに消えたのかという様々な疑惑・疑問は解明されないままだ。

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