スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【12】
クリス・ロック「バイデンは老いぼれ」 アメリカ大統領選でコメディアンに寄る風刺が加熱!
2020/10/08 23:00
#スタンダップコメディ #トランプ大統領 #Saku Yanagawa
貧富の格差を推し進めるかのようなアメリカの政治に立ち向かう
現在アメリカでは上位1%の超富裕層が国全体の40%の富を独占していると言われている。そうした状況の中でトランプは彼らに対して1兆5000億ドルもの減税を行ない、経済格差はさらに広がった。クリス自身は疑いようのない「成功者」で、富裕層であることに疑念はない。しかし、その彼が代弁する庶民の「声」に会場は大きな拍手を送った。
「だからこそ投票に行こう! マジにならなきゃ。奴らは僕らに投票して欲しくないんだ。だから投票日を火曜日に設定してる。この番組ももし、土曜じゃなく火曜の晩に放送してたら、一年と持たずに終わってたさ」
そして、最後に小説家、ジェームズ・ボールドウィンの引用で締めくくった。
「すべての困難を変えることはできないが、立ち向かわなければ何も変えることはできない」
ジェームズ・ボールドウィンは50年代に文壇に登場すると、黒人でゲイという立場から60年代の公民権運動にも積極的に参加した。彼のことばは60年経った今もなお、リアリティをもって突き刺さる。アメリカが2020年、立ち向かわなければならない壁は恐ろしく高く険しいが、ひとりのスタンダップコメディアンの言葉で、誰かが立ち向かう勇気を持てるとすればまだまだ捨てたもんじゃないだろう。
<クリス・ロック>
1965年サウスカロライナ州生まれ。1990年に『サタデー・ナイト・ライブ』のキャストに抜擢されると以後映画やTVで活躍。エミー賞、グラミー賞をそれぞれ3回受賞。オスカーの司会もこなすなどアメリカを代表するコメディアン。
最終更新:2023/02/08 13:21
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