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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 菅政権の行政改革は“年金制度廃止”の布石!?
週刊誌スクープ大賞

菅政権が進めるデジタル庁や縦割り行政廃止は“年金制度廃止”の布石だった!?

 さて、今週の第1位は、久しぶりにポストに輝いた。

 この記事は読めば読むほど恐ろしいことを訴えている。この国は暮らしも福祉も年々悪くなっているのは間違いないが、ポストのいうことが現実になれば、多くの国民は死ねということになるからだ。

 菅義偉の口癖は「自助・共助・公助」。全ては自己責任で、人を頼るなということであるこの男が信奉しているのは、あの竹中平蔵人材派遣会社パソナ会長である。新自由主義の権化だから、自己責任論者の菅とウマが合うのだろう。

 その竹中が提案しているのが、国民一人一人に月7万円を配るベーシックインカムだという。

 だがそのためには財源が年間100兆円はいるそうだ。そこで竹中は「社会保障財源」を当てるといい出している。現在、年金、医療、介護、失業保険、生活保護などの社会保障支給額は年間約120兆円(2019年度)。それを国民が支払う年金や健康保険などの保険料(約71.5兆円)と国庫負担(約34.1兆円)、地方税(約14.7兆円)、年金積立金の運用益などで賄っている。

その財源をベーシックインカムの支払いに回せば足りるというのである。「竹中氏は今年8月に刊行した著書『ポストコロナの「日本改造計画」』でこう書いている。

〈1人に毎月七万円給付する案は、年金や生活保護などの社会保障の廃止とバーターの話でもあります。国民全員に七万円を給付するなら、高齢者への年金や、生活保護者への費用をなくすことができます。それによって浮いた予算をこちらに回すのです〉

はっきり『年金や生活保護などの社会保障の廃止』を謳っている。年金制度を廃止すれば、厚労省の年金局や日本年金機構はいらなくなる。生活保護支給の審査業務も必要なくなる。政府の仕事は国民のマイナンバーに紐付けた口座に毎月7万円を自動的に振り込むだけでいい。菅政権が進めるデジタル庁や縦割り行政廃止は、年金制度廃止の準備であることが浮かび上がってくる」(ポスト)

 何と乱暴な考えだろう。この程度のお粗末なやり方を菅に吹き込み、思慮深さのない菅が、何も考えずに推し進めるとしたら、この国は福祉国家の看板を下ろすべきである。

「ベーシックインカムの導入で廃止になるのは年金だけではない。日本の社会保障は、加入者の掛け金で運営される社会保険制度、つまり、国民が互いに支え合う“共助”の仕組みになっている。年金をはじめとして、健康保険、介護保険、雇用保険はそれぞれ国民が負担する『社会保険料』を主な財源(収入)にして、年金保険支給、医療費や介護費用の支払い(支出)にあてられている。

 しかし、年間約104兆円(月7万円×1億2500万人)のベーシックインカムの財源確保には、年金保険料だけでは足りない。健康保険や介護保険、雇用保険まで含めた現行制度における『社会保険料』の収入と同等の収入源が必要になる。
つまりサラリーマンが給料から天引きされる『社会保険料』が、ほぼそのまま“ベーシックインカム税”に性格が変わる」

 そうなるとどうなるのか?

 「『1人7万円のベーシックインカム』を国民全員に配れば医療費や介護の財源は残らないということになる。『ベーシックインカムを問いなす―その現実と可能性』の共著者の1人で労働社会学者の今野晴貴氏が指摘する。『竹中プランが日本で導入されれば、年金、医療、介護、生活保護などの社会保障給付は打ち切られることが想定されます。年金を老人ホームの毎月の入居費用支払いにあてている高齢者は、ベーシックインカムが実施されると費用を払えなくなって退去を迫られるケースもあり得る。健康保険や介護保険制度の共助の仕組みも成り立たなくなり、現役世代も高齢者も、病気や介護が必要になったときは全額自己負担。月額7万円の中から払ってくれということです」

 先の百万より目先の7万円である。人間の弱さを衝いて、後は自助だと切り捨てる。

 ポストがいうように、「国民のセーフティーネットを切り捨てることで、『増税なき財政再建』を実現しようという国家の陰謀である。国民はその対策を考えることが急務だ」。何しろ、菅というのはやり方が陰険である。

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