トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ  > 人種差別横行のハリウッドに変化
スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【10】

人種差別横行していたハリウッドに変化 アジア人モノマネに大きな批判の声も…アジア系大御所コメディアンのもがき

5年前のセーフが通じなくなるショービズ界

人種差別横行していたハリウッドに変化 アジア人モノマネに大きな批判の声も…アジア系大御所コメディアンのもがきの画像2
ネットフリックスで配信開始!

 ここで難しいのはこうしたジョークが「適切かどうか」という問題に対する明確なルールブックがないということ。だからこそコメディアン自身がリスクを背負いながらギリギリのラインを見極めていくしかないのである。5年前にはセーフだったこと、極端に言えば昨日まではセーフだったことが今日にはアウトに変わってそのひとことのジョークのために全ての仕事が「キャンセル」されても誰も文句は言えないのだ。
 
 もちろんロブ自身もそうした状況は誰よりも理解している。それゆえ、自身を「アジア系」と括りながら同じ「アジア系」をジョークにするというスタンスを強調させネタを展開した狙いが見える。そこには以前の破天荒でむき出しのステレオタイプからロブ自身が必死にアップデートを図っている姿勢が確かにみて取れた。
 
 今確かに変わりゆくアメリカのエンタメ。ひとりの大御所がその波に揉まれながらも必死にアップデートを試みるべく舞台に帰ってきた姿は今後ハリウッドが目指す指針を垣間見せてくれたかもしれない。

<ロブ・シュナイダー>
サンフランシスコ出身のコメディアン、俳優、脚本家。1990年に人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』にレギュラー出演を果たすとハリウッド映画やTVのシットコムに立て続けに出演。『ホームアローン2』やアダム・サンドラーの作品では強烈な脇役としても印象を残す。『ホットチック』では主演のほか脚本も担当し高い評価を得た。

<『ママはアジアン、子はメキシカン』>
ロブ・シュナイダー初のNetflixスタンダップ・スペシャル。およそ30年ぶりに舞台に帰ってきた意欲作。50代を迎えた彼が語る人生観や、男女の恋愛観の違い、また自身の3度目となる結婚生活など人間の「真理」を笑いで紡ぐ45分。最後には娘のエル・キングもサプライズ出演しデュエットを披露。

Saku Yanagawa(コメディアン)

アメリカ、シカゴを拠点に活動するスタンダップコメディアン。これまでヨーロッパ、アフリカなど10カ国以上で公演を行う。シアトルやボストン、ロサンゼルスのコメディ大会に出場し、日本人初の入賞を果たしたほか、全米でヘッドライナーとしてツアー公演。日本ではフジロックにも出演。2021年フォーブス・アジアの選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。アメリカの新聞で“Rising Star of Comedy”と称される。大阪大学文学部、演劇学・音楽学専修卒業。自著『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』(産業編集センター)が発売中。

Instagram:@saku_yanagawa

【Saku YanagawaのYouTubeチャンネル】

さくやながわ

最終更新:2023/02/08 13:21
123
ページ上部へ戻る

配給映画