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日刊サイゾー トップ  > 人種差別横行のハリウッドに変化
スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【10】

人種差別横行していたハリウッドに変化 アジア人モノマネに大きな批判の声も…アジア系大御所コメディアンのもがき

アメリカのエンタメ界で進む多様化

 2020年9月8日、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは2024年から作品賞にノミネートされるための条件として、「多様性」の項目を満たしていることが必須という声明を発表した。これまで伝統的に一部の人種、ジェンダーが映画産業において要職や利益を独占してきたことに対する措置として定めたもので、これにより多様な人材がハリウッドで活躍することが望まれているという。
 
 「アジア人」としてアメリカのコメディ界に風穴を開け、これまで30年以上にわたり第一線で活躍してきたロブ・シュナイダーにとってもこの流れは追い風となるのか。

 彼は舞台で続ける。

「ハリウッドでも今やダイバーシティさ。アジア人、黒人、女性を雇え!って。だけど僕にはその肝心のアジア人っぽさがないから。ちくしょう」
 
 30年前なら当たり前だった「白人がアジア人の役を演じる」ことも、今のハリウッドではできなくなっている。スカーレット・ヨハンソンが2016年映画『攻殻機動隊』で日本人の役を演じようとした際に、「アジア人の役と機会を白人が奪っている」と大きな批判にさらされ結果的に降板に持ち込まれたことも記憶に新しい。

 こうした現状で以前のようにロブが「純粋なアジア人」の役を演じることはもう叶わないだろう。

 そして本作が配信された直後、主にリベラル系のメディアを中心に作品への批判が巻き起こった。それはロブの「アジア系のアクセント・モノマネ」に対してで、先ほどの「お母さんネタ」でのフィリピンアクセント、そして中国人アクセント、韓国人アクセントに対して「アクセントをモノマネしてジョークにすることは2020年にふさわしくない」「時代遅れだ」と物議を醸したのだった。そこに内包されるのはおそらく「純粋なアジア人でないロブ・シュナイダー」がアクセントのモノマネを通して人種的他者に擬態するのはよろしくない、という文脈であると推察される。

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