菅内閣は増え続ける若者の年金負担をどう切り抜けるのか?65歳以上高齢者30万人増加で過去最多
#年金 #菅義偉
9月20日、総務省は「敬老の日」にちなんで、統計から見た65歳以上の高齢者の姿を取りまとめた。そこには、高齢者をめぐる厳しい現実と若者を待ち構える暗雲が現れている。
9月15日現在、65歳以上の高齢者(以下、高齢者)は前年比30万人増加して、3617万人と過去最多となった。総人口に占める割合も前年比0.3ポイント上昇して28.7%と過去最高となった。日本人の3.5人に1人は65歳以上の高齢者となったわけだ。
70歳以上人口も前年比78万人増(0.7ポイント上昇)し、2791万人(総人口の22.2%)となった。70歳以上の高齢者の増加は、「団塊の世代」(1947年~49年生まれ)が70歳代になったことが大きい。75歳以上人口も前年比24万人増(0.3ポイント上昇)し、1871万人(同14.9%)となっている。
日本の公的年金は、基本的に現役世代が納めた保険料をその時の年金受給者へ支給する「賦課方式」となっている。政府は任意に選択できる年金受給開始年齢を、70歳から75歳へと引き上げることで年金財政への負担軽減を図っているが、高齢者の増加は確実に現役世代の保険料負担につながっている。
総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、50 年の4.9%以降は上昇を続けており、85 年に 10%、05 年に 20%を超え、20 年は 28.7%となった。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると第2次ベビーブーム期(71年~74年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれている。つまり、現役世代の保険料負担の増加は、今後もまだまだ続いていくのは明らかだ。
日本の高齢化の状況が如何に突出したものかと言えば、65歳以上の総人口に占める割合28.7%は世界でもっとも高いだけではなく、2位のイタリア23.3%よりも5%以上も高い水準となっている。なお、世界の65歳以上人口割合9.3%と比べると3倍以上の高齢化となっていることがわかる。
<主要国の高齢者の総人口に占める割合(%)>
イタリア23.3 カナダ18.1
ドイツ21.7 米国16.6
フランス20.8 韓国15.8
イギリス18.7 中国12.0
こうした高齢化の進展は、高齢者の暮らしにも影響を与えている。19年の高齢者の就業者数は892万人と過去最多となり、16年連続で増加している。就業者総数に占める高齢就業者の割合13.3%と過去最高となった。
65歳以上の高齢者全体の24.9%が働いているのだが、特に、65~69歳では48.4%(男性の58.9%、女性の38.6%)が、さらに、70歳以上でも17.2%の高齢者が働いている。年金受給開始年齢の65歳を過ぎても、65~69歳の男性の6割が仕事を続けている点は、高齢者の“生活苦”を窺わせる。
実際、雇用されている高齢者は503万人で、働く高齢者の56.9%を占めている。つまり、6割の高齢者が雇用者として働いているのだが、その雇用形態は77.3%が非正規で、このうち52.7%がパート・アルバイトとなっている。
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