『麒麟がくる』義輝の最期と“美しすぎる天皇”の登場──史実とドラマ、両方で見る室町幕府の失落劇
2020/09/27 11:00
#NHK #大河ドラマ #向井理 #長谷川博己 #麒麟がくる #大河ドラマ勝手に放送講義
坂東玉三郎“おごそかな登場シーン”は史実に沿っている?
さらに今回、はじめて「美しすぎる天皇」こと正親町天皇(坂東玉三郎さん)が登場しましたね。あの静かでおごそかな登場シーン、けっこうリアルだと感じました。
「面(おもて)をあげよ」的なセリフもなしに、近衛前久(本郷奏多さん)の奏上がはじまりましたが、実際、貴人との面会というのはああいう感じなのです。高貴な人の登場は、絶対的な静寂をもって迎えるというのが、日本の歴史の中では正しいのでした。
「シーッ」という現在でも静かにさせるときに使う擬音ありますよね。当時から、あれが用いられることもありました。文字にすると「しし」。ほかには「おお」などのバリエーションもあるのですが、これらを「警蹕(けいひつ)」というのです。あの擬音にも思わぬ歴史があるわけなんですね。まぁ、これも現代人には伝わりにくいので、ドラマでは「お出ましになられました」というセリフが代わりに用いられていましたが。
御簾の向こうなので顔もはっきりとは映らず、ぼんやりとした影のような姿が見えただけでしたが、その動きだけでもさすがは坂東玉三郎。威厳がありました。
歌舞伎にはほとんど動かないのに、存在感だけを出し続けねばならない役というのがあります。特に古典歌舞伎における帝や将軍など、高貴な人の役はだいたいそうですね。難しいんだろうなぁ……と今回のドラマでも感じました。
実際のところは、というと、亀治郎時代の市川猿之助さんにインタビューする機会が筆者にはあり、「ああいう役は他とは違った風に難しいのですか?」と聞くと「動かなくていいから簡単ですよ!」などと即答されてしまったので、ああいうのは生まれ持ったカリスマ性なんでしょうね(笑)。それではまた来週!
最終更新:2023/02/21 12:09
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
00:20更新
イチオシ記事
現役ヤクザも視聴する78歳の元山口組顧問弁護士・山之内幸夫が「アウトロー系YouTuber」に大転身した驚愕の理由