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日刊サイゾー トップ > 社会 > 政治・経済  > 石破派パーティーに“石破つぶし”二階氏が登場 

“石破つぶし”二階氏が石破派の“残念”パーティーに登場 さっそく“党内の融和”を演じる自民党の盤石さ

石破派の残念パーティーに石破つぶし二階氏登場 さっそく党内融和を演じる自民党の盤石さの画像1
石破茂ウェブサイトより

 毎月10日に発売される「文藝春秋」(文藝春秋)で、赤坂太郎の政界インサイドレポートをいつも真っ先に読む。多少なりとも、永田町に接点を持つ人間にとり、政界の今を分析してくれる同レポートは必読だ。それでも、14日に実施された自民党総裁選の直前に発売された10月号の「二階俊博 その男、面妖につき」の大胆な見出しには少なからず驚いた。

 まず、「面妖(めんよう)」という聞きなれない言葉の意味を手元にある広辞苑で紐解いた。「不思議なこと、奇妙なこと」とあった。確かに今回の菅義偉自民党総裁誕生をめぐる二階の一連の動きは、“面妖”としか表現しえなかった。

 その二階が17日、東京のホテル・ニューオータニの「鶴の間」で開かれた水月会(石破派)の政治資金パーティーに講師として現れた。パーティーの開催も、二階氏が主賓兼講師として来ることは、先月28日の安倍晋三前首相の辞任表明のずっと前から決まっていたことだった。

 6月8日に、石破が自民党本部の幹事長室を訪れ、二階に自派のパーティーの講師を依頼した。二階はその日の記者会見で「将来さらに高みを目指して頂きたい、期待の星の一人だ」と石破を持ち上げた。それまで二階は安倍首相の4選支持を声高々に唱えていたので、講師受諾は一部の人たちには“面妖”な行動と映ったのだ。

 しかし、その後状況は激変する。今回の菅総裁誕生をめぐる政局で二階が取った行動は、周知の通りだ。菅が勝ち馬と見るや、いち早く二階派として菅支持を表明した。二階は8月31日には党員投票なしの方針を明らかにした。100万人以上いる党員投票をやれば、地方で人気のある石破に、国会議員票と同数の票が配分される党員票の多くを持っていかれる危険があったからだ。二階は「政治的空白をもたらしてはならない」との大義名分で党員投票なしを押し切った。

 冒頭挨拶した石破は、「石破つぶしとか石破たたきとか、果ては石破殺しとか何だか恐ろしい言葉が飛び交っておりましたが、一番厳しい選挙であった」と、総裁選中の徹底した石破包囲網を振り返った。

 二階はある意味、石破の総裁選での勝利の芽を摘んだ人物である。しかし、二階は壇上に上がると、「堂々たる論戦で立派な総裁選。石破先生の矜持を称えたい」と労った。そして、二階も石破も田中角栄元首相の派閥の出身であることに触れ、最後は「新しい時代を担っていく重要な任務が、石破先生に課せられている」と石破を持ち上げ演説を締めた。

 会合には9月2日、細田、麻生、竹下の3派閥の会長が菅支持を表明した記者会見で、一緒にやろうという二階派の申し出を拒んだ3派の一つ、竹下派の竹下亘会長も挨拶に立った。さらに総裁選で激しく2位を争った岸田文雄も姿を見せ挨拶した。

 たった3日前に行われた総裁選がまるで無かったかの如く、各人、この日与えられた最も重要な役割である“党内の融和”を演じきった。彼らの動きを“面妖”と捉え、微妙な空気を感じたのは筆者だけだったようで、すべてが予定調和の中で滞りなく進行していった。

 逆に、ここに自民党の強さがあるのかもしれない。激しい権力闘争を演じても、ひとたび勝負がついてからの争いは、彼らのレゾンデトール(存在意義)である権力維持のマイナスにしかならない。すれば、直ちに鉾を収める分別をこの党のリーダー達は持つ。ここが権力闘争の度に、離党者が続出し党が瓦解していった旧民主党政権とは大いに違う点だ。二階の挨拶の後、「これで自民党も盤石だ」と呟いた臨席の老人の独り言に思わず頷いてしまった。

最終更新:2020/09/20 12:00
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