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メビウス21年には590円に? またも「たばこ税」増税… 販売本数は減っても税収は2兆円のカラクリ

たばこについで酒も増税……

 97年4月1日の消費税率3%から5%への引き上げでは、96年に3483億本の販売があった紙巻たばこは、97年には3280億本に203億本(5.8%)減少した。14年4月1日の消費税率3%から5%への引き上げでは、13年の1969億本の販売から14年1793億本に176億本(8.9%)減少した。

 さて、18年に1本当たり1円の値上げが行われている。同年の販売本数は1300億本のため、19年はこの影響で1250億本程度まで販売本数が減少すると予想される。しかし、これはたばこ税の引き上げ分だけだ。19年は10月1日に消費税率が8%から10%に引き上げられている。この影響を加味すれば、20年10月1日からの1本当たり1円のたばこ税引き上げの影響もあり、20年の販売本数は1000億本程度まで落ち込む可能性がある。否、1000億本を割り込むことも考えられる。

 1本当たり1円の値上げの場合、1箱20本入りの値上げ分は20円だが、これに消費税がかかるため、今年10月1日からの値上げも1本当たり1円の値上げだが、20本入り1箱の値上げ幅は50円となっている。

 21年10月1日のたばこ税引き上げでも、同様に20本入り1箱当たりの上げ幅が50円となる可能性は高く、2年で100円の値上げだ。主力ブランドのメビウスは今年10月の値上げで1箱490 円から540円になる。2021年に50円値上げされれば590円。相当の“たばこ離れ”が起きることは間違いなさそうだ。

 もし、たばこ離れに拍車がかかれば、政府がたばこ税の増税で目論む税収が確保できなくなる可能性が高まる。さらに、たばこ販売の減少が続くようであれば、税収の減少が続くことになる。

 となれば、税収をたばこ以外に求めなければならなくなる。実際にたばこ税と同様に酒税も引き上げが行われている。酒税だけで足りなくなれば、他の税源を求めるか消費税率を再び引き上げざるを得なくなるだろう。たばこ等の税収は2兆円程度であることは前述した。消費税率は1%引き上げると税収は2.5兆円程度になる。

 たばこ税の連続引き上げは、健康被害の減少には結び付くかもしれないが、一方ではたばこ離れを加速させ、たばこ税の減少を招き、たばこ以外の増税を招くという“諸刃の剣”となる可能性を秘めている。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2020/09/22 15:28
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