無印良品も参戦する世界の昆虫食 コオロギVSトノサマバッタの“昆虫代理戦争”が勃発!
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昆虫食が食卓に上る日が近いかもしれない。世界の昆虫食の主流はコオロギだが、弘前大学農学生命科学部と昆虫食専門企業の合同会社TAKEOが「トノサマバッタ」の食用利用で共同研究を開始、トノサマバッタで日本の食卓に切り込む。
世界では人口増加や中所得国・低所得国の経済成長などを背景に、将来的に食肉などの畜産物の需要増加が見込まれている。国連が発表した2017年の世界の人口は76億人だが、2050年には98億人に増加すると予測されており、食糧や水不足の危機が懸念されている。
日本では、超高齢化社会を迎え健康寿命を延ばし、高齢者の身体機能の低下を抑制するためにも、食生活の中で十分なタンパク質を摂取することが重要だ。しかし、日本は肉の輸入とともに家畜の飼料なども輸入に頼っており、飼料の国産化やタンパク源の多様化が大きな課題となっている。
こうした中で、新たなタンパク源として注目されているのが、“代用肉”や“昆虫食”だ。
大豆など植物由来のタンパク質から作られた“代用肉”は近年、日本でも健康志向の高まりとともに注目を集めており、海外では代用肉の人気は以前から高く、ヘルシー志向の強い人たちを中心に常食となっているほどだ。
一方、“昆虫食”の知名度はまだまだ低い。日本でも一部の地方では、滋養強壮や栄養補給源として蜂の子やイナゴを食べる習慣が古くからあるが、多くの家庭では昆虫を食べる習慣はない。しかし、FAO(国連食糧農業機関)とオランダのヴァーヘニンゲン大学の共同調査研究によると、世界では現在、1990種類を超える昆虫類が食用にされている。
4月17日には、農林水産省が「フードテック研究会」を立ち上げ、将来的なタンパク質の供給の多様化について検討を開始した。検討対象には代用肉とともに昆虫食も含まれている。
世界の昆虫食ではコオロギが主流になっている。欧米ではコオロギ由来の食品がスーパーなどで販売されている。特に食用コオロギの粉末を混ぜた小麦粉は多くのスーパーで購入が可能だ。
日本でも無印良品が徳島大学と連携して「フタホシコオロギ」をパウダー状にして練り込んだ「コオロギせんべい」を開発、発売している。この「コオロギせんべい」を筆者も購入して食べてみたが、「エビせんべい」に近い香ばしい味わいで、非常に美味しかった。
このコオロギ優勢の昆虫食に、弘前大とTAKEOがトノサマバッタで勝負に出る。弘前大がトノサマバッタの生産技術開発を行い、TAKEOが実証実験および食品の需要開発、商品化を行う。
コオロギは雑食性で養殖が容易だ。一般的なコオロギ養殖では、穀物や魚粉などを含む飼料により養殖されている。トノサマバッタは繁殖のしやすさはコオロギとほぼ同等の半面、トノサマバッタは栄養価の低いイネ科植物の生葉だけで養殖できる。このため、コオロギに比べて養殖が難しい。これが、コオロギが昆虫食の中心となっている理由の一つでもある。
トノサマバッタの大量生産には世界の様々な企業が取り組んでいるものの、未だ実用化されてはいない。しかし、研究開発により乾燥飼料が使えるようになれば、養殖は容易になる。弘前大はトノサマバッタの飼育に関する基礎データの収集、飼育条件の最適化、専用ドライフィード(乾燥飼料)の開発、食用品種の選抜育種などを行う。
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