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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『家つい』下北沢女子の過去

『家、ついて行ってイイですか?』下北沢で出会った、フォトジェニックな青学4年女子の過去

「自分は世界で1番不幸な人だなあってずっと思ってて」

 東京・下北沢でカメラマンに写真を撮られている若い女性に番組スタッフは声を掛けた。フォトジェニックな彼女は青山学院大学の4年生。彼氏と同棲しているそうで、家について行ってイイか、電話で確認をとってくれるようだ。……ここで、異変発生。彼女、英語で彼氏と会話している。女性が交際しているのは、イギリス人と日本人の両親を持つ26歳の男性で、彼が住む家賃14万円のマンションに居候のような形で生活しているらしい。

 自宅に到着して思わず圧倒された。ドラマに出てきそうなシャレオツなマンションだ。誰がどう見てもリア充な生活を送っているようだ。

女性の印象はポジティブで、会ったばかりのスタッフの前で英語を駆使したり、自分の境遇を明かしたりと、話し始めると止まらないタイプ。しかし、彼女は誰かに話さずにいられなかったのだ。

彼女の父親の職業は税務署員。“結婚したい人”と思うくらい理想の男性だったが、女性が6歳のときにうつ病になり、12歳のときに他界した。

「たぶん、自殺してて……。表向きは自転車でこけたっていう事故です。でも、未送信メールが残ってて。『ごめんなさい ラクにさせて下さい』って書いてあって。しかも、(亡くなる)前日の未送信メールなので。私はそれを見つけたときに、絶対、これはって……」

 父が死んでから、彼女の家庭は困窮した。友だちは誕生日会やパーティを開いているのに、自分は恥ずかしくて家に誰も呼べない。しかし、母は一生懸命だった。そして3人の娘を1人で育て上げた。平日は派遣社員の仕事をし、土曜日はカステラ屋に務めていたそうだ。

「お母さんは勉強に力を入れている人だったので、お父さんがいなくて貧乏でも『絶対に大学までは子ども3人行かせる』って気持ちでやってて、初任給の給料くらいで3人の子どもを育ててたんで。それで塾も行かせて、お姉ちゃんは首都大学東京っていう国公立大学に行って、妹は京都府立大学ってところに行きました」

 もちろん、遺族年金や生命保険も出ただろう。だとしても、凄いことだ。家族写真を見ると、お母さんの顔に年々苦労が滲み出てくるのがわかる。いくら我が子のためとは言え、全ての親がここまで頑張れるものだろうか?

「自分は世界で1番不幸な人だなあってずっと思ってて。でも、それは間違ってたと思います」

 大学も行かせてもらって、世界一不幸なわけがない。あと、彼女の境遇を知り、学生という立場ながら彼氏と同棲している理由も腑に落ちた。恋愛感情はもちろんあるが、これ以上親に負担をかけたくないという思いも強い。だから、他の誰かに頼る必要があった。

 卒業後の彼女は国際協力団体に就職することが決まっている。大学3年の頃に休学して西アフリカのセネガルへ行き、教育を受けられない子どもたちを見たのが理由だという。

「自分より恵まれていない人がいるっていうことに気付いて、自分は逆にすごく幸せな生活ができていたなって。ご飯も食べれるし、教育も受けられるし、すごくわがままだったなとそのときに思って」

 自分が世界一不幸に思えた日々は、母の全力の慈しみで満たされていた。彼女は幸せだったのだ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/09/09 14:00
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