『5時に夢中!』カブトムシの「生命の尊い営み」とテレビの“予定調和”
#5時に夢中! #マツコ・デラックス
大悟「ロケが一番上手いかも。日本で」
コロナ禍の中、ロケ番組はなかなか新作の放送が難しい状況が続いていた。ロケVTRに千鳥の2人がツッコミを入れていく番組、『相席食堂』(朝日放送)も同様だ。これまで過去の回を再編集して放送したり、朝日放送の社屋の中を探索したりといった形で放送が続いてきた。「夢のMC超人タッグトーナメント2020」と題し、美川憲一と神田うの、長州力と武藤敬司などが過去のロケVTRにツッコミを入れていく様子に、さらに大悟とノブがツッコミを入れるという入れ子構造の実験的な回もあった。
そんな中、1日の放送では、自粛期間以後に撮影されたと思われるロケVTRが流された。放送されたのは「青田買いスペシャル2020夏」と題された企画。これまで数々のロケスターを見出してきた同番組が、まだ見ぬ原石を発掘しようという年に1度の恒例企画だ。
この日登場したのは森脇健児と、女子プロレスラーのアジャ・コング。中でもアジャのロケとそれにツッコむ千鳥の手さばきに笑った。
アジャが訪れたのは大阪府・堺市にある体験型農業公園、ハーベストの丘。ロケのオープニングでアジャが話し始めると、その流れるような喋りと軽い笑いどころの作り方に、大悟は早くも「ちょっと待てぃ!」ボタンを押して指摘した。
「うまいって」
その後も、アジャのロケの妙技は光る。見事な説明で施設の魅力を引き出したり、視聴者の共感を呼ぶコメントを残したり。かと思うと、面白アクシデントを自分から作りにいったり。その適度に情報を織り込んだ引っかかりの少ないVTRは、平日深夜ではなく土曜の午前中に放送される番組のよう。そこで獲得されるのは爆笑ではなく微笑ましさ。
そんなアジャのロケに、千鳥の2人は「むちゃくちゃうまいやん!」「教科書みたい」「勉強になります」「大阪のベテランでもここまで上手いロケできる人はいないね」「日本のテレビは全部『アジャコングの』って付き出すよ」「『グッディ!』とかもアジャさんでやってほしい」などと褒めちぎっていく。千鳥のツッコミが、微笑ましいVTRを満点大笑いの映像に再編集していく。大悟は言う。
「(ロケが)一番上手いかも。(番組に)出てくれた人とかじゃなくて、日本で」
ロケにあまり慣れていない芸能人の、その不慣れさゆえに生まれるツッコミどころを千鳥の味付けで面白く鑑賞する同番組。そんな番組らしからぬ、あまりにロケ慣れしたアジャの振る舞いが笑いを誘う。
もしかしたらあのVTRは、あえてアジャの手練れな部分をつなげて編集したものだったのかもしれない。千鳥のツッコミを予期して、2人はこうやって面白がってくれるだろうと期待して、作られたものだったのかもしれない。そういう意味では予定調和だ。
そもそも、千鳥が「教科書みたい」と言ったように、アジャのロケ自体が予定調和の連続だった。けれど、「予定調和をぶっ壊す!」と息巻くよりも、予定調和をなぞることのほうが、なんだか予定調和っぽくなくて面白いから不思議なものだ。
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