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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『麒麟がくる』向井理の足利義輝が面白い

『麒麟がくる』スネる足利義輝、戦国を“高級愛人”として生き抜く遊女…etc.フィクションに散りばめられた史実を紐解く

尾野真千子が演じる“規格外”な遊女像

 たしかに遊女の格式は時代と共に落ち、戦国時代では芸能人と高級愛人業を兼ねているような存在になってはいますが、自分の人生の決定権は自分にありました。「高貴な武士の正室になれるのか?」とまで言われれば、「うーん」なのですが、戦国時代でも「それなり」の存在にはなりえたのです。

 だから吉田鋼太郎さん演じる松永久秀から(正室が亡くなったから)後妻的な存在としてワシの傍にずっといないか? などと伊呂波太夫が口説かれるシーンもアリといえばアリなのです。吉田版の松永なら、誰でもああやって口説いてそうですけどもね。

 とはいえ遊女は、当時の日本の階級社会の外に出てしまった、「アウト・オブ・カースト」な存在でもあるので、まぁ、伊呂波太夫と関白殿下のあまりの「仲良しっぷり」にはびっくりしました(笑)。

「びっくり」といえば……今回は、越前で蟄居中の明智家に、次女として「たま」が生まれましたね。長女の名前は強調されないのに、たまちゃんだけ名前のテロップが出る不平等……そして史実を書いた文献では明智の“三女”とされる場合も多い中、今回は“次女”という設定(役者の数を減らしたかった?)も気になり……。いろいろと見逃せませんでした。「大人の事情」がチラホラしています。

 ちなみに、たまちゃんは後の細川ガラシャです。越前まで訪ねてきた細川藤孝(眞島秀和さん)に妙に懐くという設定も、彼の息子とたまちゃんが結婚する未来の伏線でしょうか……。急にドラマがザワザワしてきた感のある『麒麟がくる』。今週の放送も楽しみです。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 12:11
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