トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 『新聞記者』藤井道人監督インタビュー
映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』公開記念インタビュー

“日本アカデミー賞監督”藤井道人「清原果耶さんはシャーマンのよう」「コロナ禍の映画界を変える」

僕らの世代が考えるべき問題

ーー藤井監督は伊坂幸太郎原作の『オー!ファーザー』(14)で監督デビューしたわけですが、これまでに撮った『青の帰り道』は同じ高校を卒業した同窓生たちのその後のつながり、『デイアンドナイト』は社会に居場所のない者たちが寄り添い合うドラマ、とバラバラになりがちな個と個のつながり、新しい時代の新しい家族像をテーマにしているように感じられます。

藤井 なるほど、そんな見方をすることもできますね(笑)。確かに、人と人とのつながりをテーマにした作品が多いですね。僕が映画で描きたいことって、そういうことなのかもしれません。綾野剛さん、舘ひろしさんらが出演してくれた『ヤクザと家族』も、ヤクザにも家族がいるんだよという内容です。東海テレビ制作のドキュメンタリー作品『ヤクザと憲法』(16)がありました。すごく面白くて、参考にもしましたが、ドキュメンタリー作品では描かれなかったヤクザの家族についてしっかりと描いたものになっています。『デイアンドナイト』『新聞記者』を楽しんでくれた人には、『ヤクザと家族』はより進化したものとしてお届けできると思います。『宇宙でいちばん』は僕のこれまでにはなかったゼロ系のものです。僕自身は『宇宙でいちばん』みたいな優しいタイプの作品も大好きなんです(笑)。

ーーコロナ禍によって、エンタメ業界は大きな影響を受けています。藤井監督はこの状況をどう受け止めていますか?

藤井 映画業界も確実に変わると思います。いちばん危惧しているのは、映画館がなくなるということ。特に僕らが育ったミニシアターは存続の危機にあります。ミニシアターがなくなると、若い映画監督が育つ土壌もなくなってしまう。若い監督が育たないと、映画という文化は大きくなりません。これは僕らの世代が考えないといけない問題だと思っています。仲間たちで出資して、劇場上映し、配信もできるようなスキームができないかと思案しているところなんです。それに今は僕のところに監督のオファーが集まっていますが、いつかはオファーが来なくなる日も来ると思うんです。潮時ってありますから。そのときは僕はプロデュースに回って、若い世代の監督を育てたい。そのためにも、今は河村プロデューサーから盗めるノウハウはすべて盗んでやろうと考えているんです(笑)。

(取材・文=長野辰次)

■作品情報
『宇宙でいちばんあかるい屋根』
お隣の大学生・亨(伊藤健太郎)に恋する14歳の少女・つばめ(清原果耶)。優しく支えてくれる父(吉岡秀隆)と、明るく包み込んでくれる育ての母(坂井真紀)。もうすぐ2人の間に赤ちゃんが生まれるのだ。幸せそうな両親の姿はつばめの心をチクチクと刺していた。しかも、学校は元カレの笹川(醍醐虎汰朗)との悪い噂でもちきりで、なんだか居心地が悪い。つばめは書道教室の屋上でひとり過ごす時間が好きだった。ところがある夜、唯一の憩いの場に闖入者が――。空を見上げたつばめの目に飛び込んできたのは、星空を舞う老婆の姿!? 派手な装いの老婆・星ばあ(桃井かおり)はキックボードを乗り回しながら、「年くったらなんだってできるようになるんだ――」とはしゃいでいる。最初は自由気ままな星ばあが苦手だったのに、つばめはいつしか悩みを打ち明けるようになっていた。
公式サイト https://uchu-ichi.jp/

原作/野中ともそ 脚本・監督/藤井道人 
出演/清原果耶、伊藤健太郎、水野美紀、山中崇、醍醐虎汰朗、坂井真紀、吉岡秀隆、桃井かおり 
主題歌/「今とあの頃の僕ら」清原果耶
配給/KADOKAWA 9月4日(金)より全国ロードショー

●藤井道人(ふじい・みちひと)
1986年東京都生まれ。日大芸術学部映画学科脚本家コース卒業。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(14)で長編映画デビュー。オリジナル脚本作『青の帰り道』『デイアンドナイト』(18)が注目を集め、『新聞記者』(19)は日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞の主要三部門を制した。2021年には『ヤクザと家族 The Family』の公開が予定されている。

 

最終更新:2020/09/04 11:04
12345
ページ上部へ戻る

配給映画