安倍首相“支離滅裂”“実績なし”で辞意表明 アベノミクス終了で金利はどうなる?
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在任期間は最長…安倍首相の実績は?
実は安倍首相は多くの“レコード”を持っている。2020年8月24日には、連続在職日数が2799日となり、それまで最長だった佐藤栄作氏(2798日)を抜き歴代最長となったことはつとに有名だが、すでに、2019年11月20日には首相通算在職日数が2887日となり、桂太郎氏(2886日)を抜き歴代最長となっていた。
それだけではない。2006年の内閣総理大臣就任は、戦後最年少で、戦後生まれとしては初めての内閣総理大臣だったし、2012年に自民党総裁に返り咲いた時は、一度辞任した総裁が間を挟んで再選されるのは自民党史上初だった。
こうした輝かしいレコードは持っていながら、安倍首相には政治的な“レガシー”はない。辞意を表明した記者会見でも安倍首相は、「北朝鮮の拉致問題解決と憲法改正を行えなかったことは“痛恨の極み”」と述べた。
通算在職日数の上位首相は、佐藤栄作氏が「沖縄返還」を実現。吉田茂氏が日本国憲法を公布し、サンフランシスコ平和条約、日米安全保障条約に調印、小泉純一郎氏が郵政民営化を実現するなど、いずれも政治的レガシーを持っている。
しかし、安倍首相の政治的な信念だった「憲法改正」は、国民投票法改正案」がこれまで4回の国会に提出されているが、野党の強い抵抗に遭い、まったく進展していない。歴史的な業績となりそうな「北方領土返還」も「北朝鮮拉致問題の解決」も一向に解決の糸口さえ見えない状況だ。唯一実現可能だったのが「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催」だったことは、5月3日の拙稿「安倍首相はなぜ『五輪延期』踏み切れずコロナ対策が遅れたのか? 在任9年で“ほぼ実績なし”の現実」でも述べた。
辞意表敬会見で安倍首相は自らの功績を問われ、「東日本大震災からの東北の復興、400万人の雇用を生み出した“3本の矢”政策、集団的自衛権についての解釈の変更」を上げたが、いずれもレガシーと言えるものには程遠い。なお、「アベノミクス」は2013年の新語・流行語大賞のトップテンに入賞し、安倍首相が受賞している。これも、レガシーとは程遠いのだが。
結局、安倍首相の功績は、2014年4月1日に消費税率を5%から8%に、2019年10月に8%から10%に、2度の消費税率引き上げを行ったことぐらいだろうか。
借入金を除いた税金などの正味の歳入と、借入金返済のための元利払いを除いた歳出の収支であるプライマリーバランス(PB:基礎的財政収支)は、2010年にカナダのトロントでのG20(20カ国・地域)首脳会議で、日本政府が国際公約として2015年度にGDP(国内総生産)に対するPBの赤字額の割合を2010年度比で半減し、さらに2020年度に黒字化する目標を掲げたにも関わらず、2018年に安倍政権が2020年度の黒字化目標を反故とし、達成時期を2025年に先送りした。
さらに、今年7月31日の政府の経済財政諮問会議に出された「中長期の経済財政に関する試算」では、2025年度のPB黒字化の目標を堅持しながらも、試算では黒字化は2029年度に先送りされるという“支離滅裂”さだ。
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